【痛々しく腕に残るリストカットの跡】
今回、紹介するのは、都内某所の母子支援施設で働く
光さん(43歳)社会福祉士の女性だ。
待ち合わせ場所に現れた彼女は、ショートカットで痩せた体で、黒いパンツに身を包んだ、中性的な雰囲気を漂わせていた。
「今日も担当していた母親が、部屋に子供を置いて出かけてその対応をしていました。最悪ですよね。まだ小学校1年生と3年生の兄妹ですよ?なぜそんなことができるのか本当に分からない」
と座った途端に早口でまくし立てた。
彼女は看護大学を卒業後、4年間、小児科の看護師として働いた。児童虐待の多さを目の当たりにし、親支援の必要性を感じた。一念発起し、社会福祉士を取得した彼女は、母子支援員へと転身した。
両親と妹は、東京から電車で一時間ほどの地方都市に住んでいる。母親は福祉系の大学で講師をしており、教育熱心だったという。父親は温厚だったが、家はかかあ天下で、実家のことは母親を集中として回っていた。
「痩せてるって思ったでしょう?私は自分が太ることは許せないんです。自己管理ができていなくてだらしないから」
と頼んだアイスコーヒーにもガムシロップは入れなかった。
バッグからスマートフォンを取ろうとした彼女の左腕には、無数のリストカットの跡が見えた。
「驚きましたか?夏でも長袖なんです。今の職場は制服がないので、助かっています」
痛々しい傷跡が残る彼女の過去に、いったい何があったのだろう。