男性に比べて女性のホームレスは非常に少ない。
それは、比較的女性を優先して保護してきたというのがある。
僕は20年に渡ってホームレスを取材しているが、福祉のありようはずいぶん変わった。
現在は「ホームレス生活をやめたい」と思っている人は、基本的に生活保護を受けられるようになった。政府はホームレスをゼロにする計画を立てている。
しかし、それでも「福祉の世話にはなりたくない」と思っている人が一定数いる。
彼らを強制的に排除するのは、もちろん良くない。
そして、そういう人たちの多くは、精神的障害がある人も少なくない。
女性のホームレスの多くには、特に現実を見失っている人が多く見られた。
5月28日に発売された拙著『ホームレス消滅』(幻冬舎)では、女性ホームレスの問題にも言及している。
今回は、以前公開した女性ホームレスに対する記事を、再録したい。
街を歩いていて、ホームレスを見かけたことがある人は多いだろう。ただし、女性のホームレスはほとんど見かけない。女性ホームレスは男性ホームレスに比べて、圧倒的に少ない。政府の発表ではホームレスの3パーセントが女性とのことだ。
女性ホームレスが少ないわけは、女性のみを対象とした福祉制度があるというのも大きい。特に、僕が取材を始めた20年ほど前は、女性のホームレスを選んで保護していた。
その他にも、男性に依存したり、女性特有の職業である性風俗などに身を預けることでホームレスにならずにすんだ人もいる。色々問題はあれど、女性がホームレスにならずにすんでいることじたいは悪いことではない。ではそのような中、どのような女性がホームレスになるのだろうか?
僕が、女性のホームレスを取材してまず感じるのが、会話がなりたたない人が多いということだ。もちろん男性でも、会話が成立しない人はたくさんいる。ただ、割合は圧倒的に女性のほうが高かった。
上野公園でテント生活をしていた60代くらいの女性に話しかけると、いきなり