元火葬場職人に聞く『焼き場のリアル』~起き上がる遺体、立ちのぼる黒煙、吹き出す水~

コラム

ミュージシャン、作家、怪談師など数多くの顔を持つ下駄華緒さん。下駄さんは火葬技士1級を持ち、火葬場と葬儀屋で働いた経験がある。雑誌『本当あった愉快な話』(竹書房)では『最期の火を灯す者』という火葬場での体験を元にした漫画の原作を書かれている。
今回はそんな下駄さんに、火葬場で働いていた時代のエピソードを伺いたいと思う。

(C)下駄花緒・蓮古田二郎/竹書房

(C)下駄花緒・蓮古田二郎/竹書房

 

そもそも、なぜ火葬場で働こうと思ったのだろうか?

 

「当時バンドやってたんですが、先輩のバンドマンにすごいイカツイ人がいたんです。格闘技もやってるバリバリの人だったんです」

 

そんな先輩には風の噂があった。
「アイツは人を焼いたことがある」
と言われていたのだ。

 

当時は今より尖っていた下駄さんは、本人に「人を焼いたことあるのか?」と訪ねた。すると
「ああ、昨日も焼いたで」
と、こともなげに言われた。

 

「よく聞いたら、火葬場の職員だったんです(笑)。その一年前に、僕のおじいさんが亡くなって火葬場に行ったんですが、その時はじめて“斎場職員”という仕事を認識していました。」

 

どうやったらなれるか? と聞いたら、「募集してるよ」と言われた。

 

興味を持った下駄さんは、大阪の火葬場に就職をすることにした。ちょうどその頃、火葬場の体制が大きく変わろうとしている時期だった。
東京23区内は民営の火葬場が多かったが、その他の地域はほとんど公共の仕事だった。民営化が進められる時期であり、火葬場も会社になった。下駄さんも、会社員として火葬場に就職した。

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