出産、育児、健康法。女性の生活まわりにあるさまざまな情報の中には、ハマるとヤバいものがたくさん⁉ 山田ノジルが独自の視点で突っ込みつつ、沼の注意点をお届けしていきます。
CASE2#母乳神話はこちらから
Case3 自然なお産
現在、第2子妊娠中。第1子は何の疑問もなく総合病院で産んだけど、その後「自然なお産」なる選択肢があることを知った。助産院などで行われ、医療の介入は最低限に「自分の産む力・子供の生まれる力」を最大限生かす方法なんだとか。それを知ると、「上の子は本当に、分娩台で生まれたかったのかな?」「自分らしいお産だったと言えるか?」「会陰切開や吸引は自分に必要な処置だった?」ということが気になりはじめ……。
お産は本来神聖な行為であり、医師たち観衆のもとでするようなものではない。昔は皆自宅で産んでいた、当たり前の産み方。ヒトの本能であるそれができなくなっているのは、生物としておかしい。病院でのお産は機械的で冷たいから、出産時に分泌される愛情ホルモンが出にくくなる。するとお産が難航し、育児もたいへんになるetc.
よくネットとか体験談で「帝王切開は残念な出産」「下から産まないとダメ」とかの意見があるのって、こうした事実があるからなんだろうか。
でも調べると、現代女性が自然なお産をするには、結構な努力が必要になるようだ。ブログなどの体験談には、1日3時間の散歩やハードなスクワット、床の雑巾がけ、白砂糖排除とかが出てくる。コレ、働きながらは難しくない!?(※一般的な企業では、産休がとれるのは妊娠8か月頃から)
何がいいのか悪いのかよく分からなくなってきたのが、今ここ。
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「自然なお産」とは、お産が医療施設で行われるようになった以前の時代に主流だった、昔ながらの出産法のことです。昔は医師の立ち合いもなく、ほとんどの女性が自宅で産んでいたのだから、会陰切開や吸引・鉗子分娩、分娩台、帝王切開、麻酔、陣痛促進剤などは「不自然」である。「母親が主体的」に「自然の流れ身をまかせる」ことが、自然でいいお産だとする考えです。日本では2007年ころにちょっとした自然なお産ブームが発生しました。2021年7月の現在はコロナ禍というご時世もありやや下火傾向ですが、自然なお産界隈が放ったメッセージは薄まらず広がり続け、多くの女性たちを混乱させたり傷つけたりする原因になっています。
自然なお産を推奨している界隈では、こんなメッセージが発信されています。
「自分の産む力と子供の生まれる力を最大限に使いきる自然なお産は、神秘的かつ感動的」
(訳・医療が介入すると、これが損なわれる)
「真実のお産(=自然なお産)をしてこそ、本当の母親になれる」
(訳・無痛や帝王切開は楽をして産んでいるので、けしからん。認めたくない)