下駄華緒さんは、ミュージシャン、作家、怪談師など数多くの顔を持つ下駄華緒さん。火葬技士1級を持ち、火葬場と葬儀屋で働いた経験があり、雑誌『本当あった愉快な話』(竹書房)では『最期の火を灯す者』という火葬場での体験を元にした漫画の原作を書かれている。
今回は火葬場時代で働いていた時代に出会った、人たちについてお聞きした。
多くの人は、葬儀屋が選んだ火葬場で焼いてもらうことが多いと思う。人生で何度も経験することではないから
「私の夫は、あの火葬場で焼きたい!!」
などと積極的な思いがある人は少ないだろう。ただ、自分で選ぶことは可能だ。
「僕は自分の祖母を自分で焼きました。兵庫県から大阪まで運んで自分で火葬しました。ただ、それが良かったかどうかは疑問ですね。どうしても仕事として焼くことになるので、親族としての感傷はなくなってしまいました。言い方は変ですけど、もったいなかった、と思います」
基本的には葬儀屋さんに任せきりにしようと思う人がほとんどだが、中には自分でやろうと思う人もいるらしい。
「一件だけですが、DIYで作った棺桶に遺体を入れ、軽トラで運んできた人がいました。火葬許可証をとったり、その後埋葬許可証をとったりするのはそれほど難しいことじゃないです。ただ、自分の家族が亡くなった後に、それをするのはそうとうな胆力が必要ですね」