元TOKIOの山口達也容疑者、飲酒運転で逮捕。アルコール依存症でホームレスになった人たちもいる。酒で人生を失う人たち(再掲載)

そのほか

ホームレスとアルコール

また、ホームレスに話を聞いていると、アルコールが原因で体調を崩しているケースが多い。2015年夏、荒川の河川敷で、上半身に刺青が入っている、明らかにカタギではない中年ホームレス(50代)を取材した。彼はお腹の真ん中に傷があった。

 

「俺はここに引っ越してきてまだ3日だもん。その前は山谷で生活してたんだ。酒の飲みすぎで胃ガンになっちゃってさ。胃を取っちゃったんだよ。こないだ内視鏡を入れたら大丈夫だっていわれたよ。ただ、たまに食道が詰まっちゃうことがあるんだよ。そうなったら、氷水をぐぐぐぐっと飲んで入れて、なんとか通すんだよ。そうすりゃまた食べられるんだ。はっはっは」そんな原始的な方法で大丈夫なのか不安になった。

 

「ガンになる前は、リサイクルやってたんだよ。テレビ、冷蔵庫、洗濯機を拾ってきて、直してね。けっこう儲かってたんだ。テレビの取材とかも来てたんだよ。雑誌で漫画化されたこともあるんだぜ。でもある日、すげえ気持ち悪くなっちゃってさ。ついでにウンコも真っ黒になっちゃった。こりゃちょっとやべえなって思って病院行ったら、ガンだって。女子医大に行ったら、2週間で治療が済んだからよかったけどなあ。はっはっは」ちっともよくはないと思う。

 

「ガンになったのが3年前。5年間再発しなかったら、もう大丈夫っていわれてるんだけどね。そもそも俺の家は、ガン家系ではないんだけどな。まあ酒飲みすぎたのもあるかもしれないけど、井戸水飲んでたからさ。ピロリ菌が混ざってて、それでガンになっちゃったんじゃないかともいわれたよ。もうガンになっちゃったから、仕方ないから酒もやめてさ。公園の草むしりの仕事とかで地味に食いつないでるよ。オケラだよ、金も何にもないよ~。苦労も何にもないけどな。はっはっは」

 

なお、病み上がりで暑い所で生活するのはつらくないかと尋ねると、頭痛がすると言い出した。そして「昨日、ウイスキー1本飲んじゃったから。もう調子悪い」と打ち明ける。酒はやめたといっていたのだが。「酒は基本はやめてる。ちょっと飲んだだけだから大丈夫だよ。細かいこと気にしてたら、ガンになるよ。はっはっは」この中年ホームレスは底抜けに明るかったが、話の内容は、そこそこ深刻だ。ただ、彼のように酒の飲みすぎで体調を崩す人は多い。

 

 

ホームレスの話を聞いていると、真面目なホームレスから「酔っ払い(のホームレス)はタチが悪いから、接触しないほうがいいよ」といわれることがある。たしかに、ドヤ街や上野公園では酔っ払ったホームレスがたくさんいた。僕は酔っ払ったホームレスにも話しかけたが、やはりみんなやたらとタチが悪かった。山谷であった元自衛官だという50代のホームレスには、昼から夜まで延々と付き合わされた。もうお開きにしたいと思っても、終わらせてくれない。いっていることは堂々巡り。

 

「写真は、腕で撮るんじゃない!心で撮るんだぞ!」などカメラが趣味だというこの男性に精神論を聞かされて辟易した。とにかくベロンベロンになって騒ぐので、出入り禁止 になっているお店も多かった。酔っ払ってのケンカも多く、顔にアザを作っている人も多い。また、酔っ払うと、体温の調整がうまくいかなくなる。冬場でも布団に入っていると暑いので、そのまま外で寝てしまう。そして、次の日に凍死してしまう人もいた。

 

個人的には、ホームレスにとって酒は害悪でしかないと思う。ただ、多くのホームレスは「そんなこといったって、飲まなきゃやってられないだろう! 酒飲むしか楽しみがないんだ!どうせもう何年かで死ぬんだ、ほっといてくれ」という。そういわれてしまうと、返す言葉がない。

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