HIVウイルスの感染者が残された日々を過ごすホスピス ~タイ国のエイズ寺に“死体”が展示してある「優しい」理由~

そのほか

建物の入り口部分には大小の犬がだらりと寝ていた。そっとまたいで中に入る。一階部分は広いフロアにズラリとベッドが並んでいた。半分くらいのベッドには人がいてダラダラとすごしている。

 

「ここにいる人達はHIVウイルスに感染しています。このホスピスで、残された日々を過ごしています」と、女性が教えてくれた。また、女性は「私も、感染しています」と言った。ボランティアとして働いているそうだ。 室内にクーラーはなかったが、大きな扇風機で風が送り込まれていて、それだけでずいぶん快適だった。ベッドで過ごしていた20代の男性に話を聞いた。HIVに感染したことは、とても残念だが、この施設自体は楽しくて不満はないという。

 

「今は100人以上の方がこの施設にいます。入居者は基本的に、無料で絶命するまでこの施設に住み続けることができます」と言った。先にも語ったが、全ては寄付金で賄われている。募金箱にはたくさんの紙幣が入っていた。寄付するために、この施設まで来る人も多かった。もちろん寺に参詣する人も多いが、この施設にある『生の博物館』を見に来る人も多いという。つまり冒頭で書いた「死体が展示してある博物館」だ。博物館の前には、たくさんの人形が並べられていた。病的でグロテスクな形をしている。

続きを読む - 1 2 3 4 5

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});