HIVウイルスの感染者が残された日々を過ごすホスピス ~タイ国のエイズ寺に“死体”が展示してある「優しい」理由~

そのほか

 

説明書きを読むと「亡くなった人の遺骨を粉々に砕いて、それをロウに混ぜこんだ物で制作している」という。衝撃的な材料である。館内に入ると、明るく、風通しが良かった。ジメッと暗い、お化け屋敷のような雰囲気ではなくホッとした。館内にはやっぱり、犬がいてダラダラと過ごしていた。ケージがあり、なかにはミイラが入っていた。ミイラにしたというより、放置しておいたらミイラになってしまったという雰囲気だった。

 

ガラスケースには赤ちゃんのミイラが二体展示してあった。母子感染で亡くなった子供だという。おそらく身分が高かったであろう人の写真の後ろには、全身の骨格が堂々と飾られていた。逆側の入り口にはガラス張りのショーケースが二台あり中にはミイラがあった。大柄な男性のミイラの保存状態は悪く粉をふいていた。「こちらはカッティングボーイです」とミイラを指差して言った。

 

胸が不自然な形でひしゃげている。どうやら整形手術で胸を膨らませた跡のようだ。男性器は見えなかったが、切断しているそうだ。つまり“カッティング”ボーイなのだ。タイはいわゆるレディーボーイがたくさんいる。ゲイの性風俗はエイズの温床になっている。立派な仏像が設置されていたが、その周りには大きな白い袋がたくさん積まれていた。それらは全て亡くなった方の遺骨だという。その量を見るだけで、いかにこの施設に頼り、この施設で亡くなった人が多いか分かった。

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