多摩川の河川敷で夫婦で暮らすホームレスにインタビュー。仕事、電気、畑を持っていても、それらは一瞬でなくなってしまう。

そのほか


まあそりゃそうだわな、と肩をすくめながらより深くに進んでいった。

建ち並ぶ家の中でも大きくて立派な小屋の前に椅子を置いて座り、木を組み合わせて何かを作っている60代後半のおじさんがいたので話しかけてみた。

「俺はここにもう10年くらい住んでるよ。俺は空き缶はやってない。ここに住んでる人のほとんどが空き缶をやってるけどね。自分の場合は、週に3回くらい川崎の工場で働いてるから」

ホームレス生活をしている人でも、廃品回収以外で収入を得ている人はいる。例えば、建設系の日雇労働の飯場に入って働く人は多い。何でも屋に雇われて、チケットや花見の場所などの並び屋をすることもある。

 

だが、定職についている人は珍しい。

「まあでもまともに働いてる人もそこそこいるよ。10人のうち……2~3人くらい? 俺もまあ、ギリギリまともかな、はっはっは」

と笑う。

 

「10年前はもっと大きな会社にいたんだよ。会社が潰れちゃってね。転職しようと思ったけど、50歳超えてたからなかなか仕事は見つかんなくてね。臨時の日払いの仕事に移行したんだ。収入はかなり減っちゃったけど、いたしかたない」

 

ただ減ってしまった収入では、今まで住んでいたアパートに住み続けるのは厳しかった。

 

「で、その時にここいらに引っ越してきたんだよ。たまたま知り合いがここらに住んでたんで、住めるって知ってたんだよ」

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