宇宙人を神と信仰する新興宗教団体に潜入取材。永遠に生きられるという“希望”が持つ危うさとは?

そのほか

参加していた女性に話を聞くと「宇宙人を信じる」という部分はあまり真剣には考えていない人が多かった。否定はしないけど、特に重要視はしていない。
ある女性が大事にしているのは教団の「性に寛容」な部分だった。なぜなら彼女は同性愛者であり、そのことで今まで非常につらい思いをしてきたからだ。
「性に寛容な教義」は彼女にとって、希望であり、救いだったのだ。性的なものだけではなく、親子関係などで悩んでいる人も多く参加していた。実際、会期中に開催されるセミナーで語られる話の多くは人間関係についてであり、宇宙人や宇宙船についてはあまり取り沙汰されなかった。

ただ、教団の「疑似科学的世界観」に救いを求めて入信している人もいた。
雑魚部屋には多くのUFOオタクのおじさんたちがいて、性行為には興味がなく、延々と葉巻型がどうだの、ミステリーサークルがどうだの、と話をしていた。中には、教祖が言った宇宙船の説明は信じず、自分が見たUFOの話をべらべらと話続ける人もいた。そういう人たちにとっては、新興宗教というよりUFO同好会みたいなノリだったのかもしれない。

それよりもっと切実に希望を求めて入信している人がいた。それは障害者の人たちだ。
新人の教徒の世話をしていた優しい男性は、教団内ではまずまず高い地位にいたのだが、ダンスパーティーなどのイベントには参加しなかった。話を聞くと、
「僕は生まれつき心臓が悪いんだ。だから激しい運動はできない」
と言われた。思わず、言葉に詰まっていると彼は
「いや、大丈夫だよ。だからこの教団に入ったんだから。ナノマシン技術やクローン技術で永久に生きることができるからね。だから、永遠によろしくね」
と言った。永遠によろしく、という言葉に背筋がゾクッとした。
理知的な彼がどこまで本気で信じていたかはわからないが、少なくとも教団が提供する“希望”にすがっていた。
彼だけではなかった。脳性小児麻痺の車椅子の青年などが、会場にいて熱心に講義を聞き入っていた。

「宇宙船で蘇った際には、五体満足完全な身体になる」

「このまま技術が進めば、数年内に身体を完全に健常者にすることができる」

というような話に目を輝かせているのを見た。そして同行した家族も、心から信じているかはわからないが、少なくとも表面上は同意していた。その姿を見て、どうにも複雑な気持ちになった。
なぜなら、彼らが食いついている希望がニセモノだからだ。
この宗教を信じたからって、彼らの障害は治ることはないし、彼らが宇宙船で蘇ることもない。そもそも彼らが崇拝する、宇宙人などいない。
宗教の話をする時に

「たとえどんな教えであっても、人を救ったならば正しい宗教だ」

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