「あいつは真面目に修行してないからもう人間には生まれ変われない」と出家信者は語った~潜入取材から見えてきた「まじめ」な人がカルト宗教にハマる実情~

そのほか

前回の記事では「宇宙人を神として信じる宗教」に潜入した時の話を書かせてもらった。

記事を読んだ人に

「その宗教の信者の人はまじめなんですか? まじめなのに宇宙人を信じたりするんですか? 客観的に物事を見られるんじゃないですか?」

と聞かれた。

「まじめ」を辞書で調べると
「うそやいいかげんなところがなく、真剣であること。本気であること」
「真心のあること。誠実であること」
などと出てくる。

世の中では「まじめ」であることは、美徳とされることが多い。
ただ「まじめ」だからと言って、おかしなを信じないとは限らないし、物事を客観的に見られるとは限らないのだ。
僕は多くの新興宗教やマルチビジネスを取材してきたが、ハマっている人のほとんどは、まじめだった。まじめにけったいな教義を信じているし、まじめにけったいな教義を広げようとしていた。

それは今に始まったことではなく、47人で深夜に吉良邸に押し入って老人を惨殺して切腹した侍たちも、ゼロ戦に乗って敵艦隊に特攻した日本兵も、自爆テロで死んだイスラム教徒も、「死のう死のう」と叫んで行進し国会議事堂前で割腹自殺した青年も、イルカの捕鯨は許さないと黒いボートで捕鯨船にアタックしてくる人たちも、みんなまじめだ。

「自分だけ気持ちよければいいや。楽しければいいや」

という自堕落な人は、そんな面倒なことや、痛いことはしないだろう。

僕は、かつて日本国内でテロを起こした新興宗教団体の後継団体に潜入取材したことがある。団体名を出さないのは無用な争いを避けるためなのだが、おそらく皆さんが頭に浮かべたアノ団体である。
テレビの報道などで見たことがあるだろうが、テロ事件を起こした人たちが高学歴でまじめな人が多かったという。僕が潜入したのは、テロ事件の発生から10年後だった。

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