僕が青木ヶ原樹海をはじめて20年以上になる。今回は、樹海を散策中に見つけた数々のモノを紹介したい。
取材を始めた頃は、今よりも樹海に対する保護意識が薄かった。樹海には様々なゴミが不法投棄されていた。
例えば、タイヤやドラム缶などが大量に捨ててあるのをよく見かけた。廃棄物処理業者が、違法に捨てたものだろう。
大量のアダルトビデオのVHSテープが捨ててあるのを見つけたこともあった。最初は
「捨て場所に困って樹海に捨てたのだろうか?」
と思ったが、それにしても量が多すぎた。おそらくレンタルビデオショップから出た、大量のVHSテープを不法投棄したのだろう。
その後、2013年に富士山が富士山-信仰の対象と芸術の源泉としてUNESCOの世界遺産リストに登録された。意識が高くなり、悪質な粗大ゴミの投棄はほとんど見られなくなった。
また当時良く見られたが、近年になって減ったのが樹海に張られたナイロン製のテープだ。樹海を散策する人の多くが、命綱としてテープを張りながら樹海の奥へ向かっていた。多くの人は探検を終えた後にも、テープを回収しない。ナイロン製のテープは腐らないのでそのままそこにあり続ける。当時は樹海の写真を撮る時には、しばらくロープを切って回収しなければならなかった。
美化意識が高まったのももちろんあるし、GPS機材が著しく進化したため、ロープを張る必要がなくなったのも大きい。近年では樹海でロープを見かけることは減った。
かつて樹海の遊歩道には金属製の網でできたゴミ箱が置いてあった。倒されて中身が散らばった状態で何十年も放置された場所がある。プルタブが外れるタイプの古い空き缶を見つけることがあり、懐かしい気持ちになる。