ラブドール、リアルドールと呼ばれる商品がある。年配の人にとっては、ダッチワイフと言ったほうが伝わるかもしれない。南極1号という製品名がを覚えている人もいるだろう。
ラブドールとは等身大の女性を模した人形のことであり、擬似的な性交に使用される場合もある商品だ。昔のいわゆるダッチワイフの多くは風船で作られており、なんとも安っぽい代物だった。
だが現在のラブドールはシリコーンなどの素材で作られた非常にリアルな商品であり、芸術的でさえある商品になっている。
ただいくら芸術的だと言ったってしょせんは「性具」じゃないか、と眉をひそめる人もいるだろう。
しかし、大阪でラブドールのショールームを開いていたこともあるB・カシワギさんは、
「ラブドールは単なる性具ではなく、心を癒やす力もあると思います」
と語る。大阪でお話を伺った。
「今は中国でラブドール人気が高まっています。日本製が80万円くらいが相場ですが、中国製だと10~50万円くらいになります」
そもそもラブドールはかなり高額の商品だ。安い商品になると、ゴムやフレーム金属の質が下がったり、指の関節など細かい部分の作りこみが荒くなる。そういった安い商品が出回ったおかげで、気軽に買う層は増えた。
「実はラブドールを性具として頻繁に使う人はあまり多くありません。理由としては、端的に掃除が面倒くさいというのがありますし、性具として使うと劣化してしまうというのもあります」
中国のあるリアルドールメーカーは、そもそもSF映画の小道具を作っていた会社で、ドールも非常に精巧にできている。
だがその代わり過度な実用にはあまり向いておらず、性具として使用すると塗装が剥がれたりする。
「実際には、ドールには好きな服を着せたり、写真を撮るのが第一目的の人が多いですね。」
もともとは小さいドール(バービー人形など)で着せ替え遊びをしていた人が、大きいドールに乗り換えたというケースも少なくない。つまり人形遊びの延長線だ。
「ドールに自己投影をしているんですね。ドールをパラレルワールドの自分として扱っている人も多いと思います。またドールと添い寝をしている人も多いです」