厚生労働省が立ち上げた「大麻等の薬物対策のあり方検討会」において、『大麻使用罪』の創設が議論されていることをご存知だろうか?
大麻は違法薬物のひとつではあるが、栽培や所持を禁じる一方、使用については罰則がない。端的にいうと現在の日本の法律では、大麻の使用そのものは罪に問われないのである。
が、同省では、若年層の大麻使用の拡大を懸念し、現行では罪には問われない「使用」についても罰則を設けることを検討している。
これを受け、6月2日、薬物依存症関連団体や薬物の依存症当事者及び家族を支援する団体が、『大麻使用罪』創設に反対する声明を発表した。
会見には、薬物依存から回復した当事者、当事者のご家族も出席し、反対の声をあげた。
あいである広場では、これまでも様々な依存症について取り上げてきた。
当事者やご家族の体験を交えながらの訴えは、非常に考えさせられるものであった。
「薬物依存症の背景には、様々な生きづらさがあります」そう話したのは、関西薬物依存症家族の会代表の山口勉さんだ。
山口さんの長男は、過去に大麻や危険ドラッグの使用歴がある。
「私は親として、彼の薬をやめさせようと躍起になりました。それでも、薬をやめようとしない息子を犯罪者扱いして、監視して、恨み、憎み、蔑み、罵声を浴びせる日々が続きました」
最終的には、一緒に死のうとまで思いつめたと話す山口さんだが、それでも外部に助けを求めることはできなかった。息子が薬物依存症であることを、他人に知られてはいけないと思っていたからだ。
『ダメ。ゼッタイ。』のスティグマが支援を遅らせたのだ。
その後、どうにか、自助グループに繋がり、長男も山口さんも救われた。この時、山口さんは、薬物依存症が病気であるということを知る。
広く知られるところではないが、依存症は脳の病気である。にも関わらず、本人の意思の弱さや性格の問題であるとみなされ、偏見や差別の対象となりやすい。
こうした背景により、支援へと繋がりにくいのが現状だ。