雑誌やテレビなどのメディアから
「ホームレスの数は増えているのですか? 減っているのですか?」
とよく聞かれる。最近では
「コロナ禍でホームレスの数は増えていますか?」
とも聞かれる。
「長い目で見てホームレスの数は激減しています。コロナ禍でホームレスになってしまう人もいるかもしれませんが、野宿生活をせずにすむ場合が多いと思います。
コロナ禍が原因でホームレスになったという人に会ったことはありますが、全体数が増えるほどではないと思います」
と答える。
そうすると、たいていは
「それは日本の景気が良くなったからですか?」
とさらに質問をされる。残念ながら、景気は関係ない。ホームレスが減少した理由は、野宿生活をしていながらも生活保護を受給できるようになり、アパートを賃貸できるようになったからだ。他にも理由はあるが、圧倒的に
「生活保護を取りやすくなった」
ことが大きい。
生活保護の受給や、生活保護の制度自体に対して、怒りや嫌悪感を覚えている人は少なくない。
ホームレスが生活保護を受ける記事を書くと
「生活保護は税金だ!! ホームレスなどのために使うな!!」
というような意見をぶつけられることは少なくない。
個人的には、生活保護でホームレス生活から脱出できるのは非常に良いことだと思う。また税金を生活保護に使うのは、非常にまっとうな使い道だと思う。むしろもっとジャンジャン使ったって良いと思う。
だがホームレス当事者にも、ホームレスが生活保護を受給することには反対な人も多い。というかそもそも生活保護を受給するのが嫌だから、結果的に野宿生活を続けている人も少なくない。
大阪の淀川の河川敷で暮らしていたお爺さんもそういう意見の一人だった。
梅田駅から二駅の、十三駅で電車を降りて、淀川まで歩く。淀川にはとても広い河川敷が広がっているが人通りはほとんどない。運動場もあるのだが、利用している人は見当たらなかった。
川に沿っててくてくと歩いていると、かなり大きな小屋があらわれた。どこからどこまでが家屋なのかよく分からないが、敷地面積は普通の一軒家くらいはあるだろう。小屋の近くには、骨組みだけの東屋のような建屋も建っている。