“事故物件住みます芸人”松原タニシが逝く『死を見つめる旅路』とは?

そのほか

タニシさんが住む事故物件には何度か訪れたことがあるのだが、来るたびに不安になる。
「人が亡くなった物件に足を踏み入れるのだから不安に感じて当たり前だろう?」
と思うかもしれないが、不安の発生源はそこではない。

タニシさんは事故物件から事故物件に移り住んでいる。つまり引っ越しが多い。だからか極端に部屋に物が少ないのだ。部屋から全く生活感が感じられず、長くいると不安になってくるのだ。
そして新しい部屋は今まで以上に物がなかった。白っぽい狭い部屋の隅っこに寝袋がバサッと落ちていた。そしてその隣には、ティッシュ一箱とトイレットペーパーが袋入りで落ちていた。
……それだけだった。タニシさんは
「トイレットペーパーを枕にしてるんですよ」
と言った。
ブレイクした芸人がトイレットペーパーを枕に寝ているとは、ミニマリストにもほどがある。僕はホームレス取材をするが、彼らのほうがよっぽどたくさんの物を持っている。

この部屋の家賃は、東京にしては安かった。他の部屋も事故物件であるがゆえに割引されていたりもするだろうが、それでも5軒借りているとなると、それなりの額になるだろう。

「月の家賃は合計で20万円前後ですね」

都心部のタワーマンションに余裕で住めるじゃないか!! 現在はコロナの影響でなかなか足を運べない部屋もあるらしく、誰も住んでいない部屋に家賃を払っている状態になっているという。

タニシさんは実にストイックだと思う。
自分のお金で事故物件を借りて、そこに住み、起こったことを発信する。
なんでもありのオカルト業界の中では、実にケレン味のない実直な取材をしている。

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