災害や戦争があった場所を観光することを、ダークツーリズムやブラックツーリズムなどと呼ぶ。
松原タニシさんの新著『死る旅』はまさに、死を見つめるダークツーリズムだと言える。
タニシさんは前作『異界探訪記 恐い旅』から数えると実にたくさんの場所に旅をしている。『死る旅』にはカラー写真のギャラリーコーナーがあり、よくもこんなにたくさんのスポットに足を運んだものだと驚いた。
そもそも松原タニシさんの活動の中心である「事故物件に住む」という行為も、考えようによってはダークツーリズムの一環であるとも思える。
前回に引き続き、タニシさんの新居である事故物件でお話を伺った。
「旅行は好きですね。これからも続けていきたいと思います。目的地はもちろんネガティブな場所ですね」
とタニシさんは当たり前のように答えた。僕もタニシさんと同様に、青木ヶ原樹海だとか、殺人現場とかに足繁く通うタイプなので、
「そうですよね~」
と同意した。
たがこれは一般的ではない。ポジティブな場所に旅行する人の方が圧倒的に多いだろう。
「明るい場所に旅行に行って
『こんなに楽しかったですよ!!』
って人に言う気はないですね。そんなことしたら、
『何楽しむために旅行に行ってんねん?』
って自分につっこんでしまいます(笑)」