『ペットの安楽死』はタブー? ~治療費にどこまでお金をかけるべきかは、積極的に話し合うべき~

そのほか

ペットを家族のように愛して飼っている人は少なくない。
筆者の父親も猫を文字通り猫可愛がりしている。ちょっと不安になるほどだ。

 

一人あたりがペットにかける金額は年々高額になっているという。
今から40年くらい前、僕が小学校の頃にはペットはまだまだ雑に飼われていた。
ご飯に味噌汁をかけた物を“ねこまんま”として猫が食べていた。よく考えたら不思議だ。猫はそもそも米を食わないし、味噌汁の塩分は腎臓の弱い猫には絶対に良くないだろう。ちなみに猫がねこまんまを食べるのは、味噌汁に魚の出汁が使われているからと言われている。今では、猫にねこまんまを食べさせているとツイートしたら、それだけで炎上しかねない。

 

キャットフードもとても細かく分けられている。Amazonで軽く調べてみただけで、
『1歳までの子ねこ用』
『高齢猫用(11歳以上) 』
『お腹の弱い愛猫に配慮』
『歯石・プラークに関する特許取得成分配合』
『グレインフリー 穀物 香料 着色料 不使用』
と、とても丁寧なラインナップが並んでいる。

 

昭和時代のうちの父だったら、
「猫にこんな過保護な物食わせて、バカバカしい!!」
って一笑に付したと思うが、令和の父は自分の食事よりも猫の餌に気を使っているようだ。

 

ただし餌は比較的安価に購入することができるから、それほど問題はおきない。
ペットを飼う上で最もお金がかかるのが、医療費である。
人間と違い国民健康保険が使えないため、思ったよりも高額になりがちだ。

 

ペットにも保険があり、年間1万5000円~4万円くらいの商品が多い。ペットの年齢が高くなっていくほど、保険料も高くなる。
もちろん額が高いサービスのほうが、多くの治療費がカバーされる。
ペットは自由診療であるため、病院によって値段に大きな開きがある。ある病院では5万円だった治療費が、別の病院では50万円だったという場案もある。

 

腸炎で10万円、骨折で30万円、と人間の治療よりもはるかに高い値段になることが多い。保険に入っていたら、かなり値段は安く抑えられる。だが多くの人は保険に入らずにペットを飼っている。

 

知人の女性も保険には入っていなかった。ペットに保険があることも知らなかった。飼い猫が急遽体調を崩したので、慌てて病院に連れて行くとただちに入院することになった。後日、30万円を請求されて目が点になったという。

「値段を聞くのもいやらしいと思って、医者のおまかせで治療していたら予想外の値段になってしまった。文句も言えないので、親にお金を借りてはらいました」

と渋い顔で語っていた。

 

動物病院の医者に話を聞いても
「治療費のことを具体的に話すのが苦手な人は少なくない」
という。逆に、
「お金はいくらかかってもいいから、この子の命を助けて下さい」
という人は、たくさんいるそうだ。

 

検査だけでも、エコー3000円、レントゲン4000円、血液検査7000円とかかる。
酸素室を使う状態では一日で5000円ほどかかり、もし一ヶ月連続で使えば15万円にもなる。思わず、
「そんな猫の治療に、新品のかなり性能のよいパソコンと同じくらい値段がかかるの!!」
と言ってしまったことがあったが、非常に冷たい目で見られ
「動物の治療費と、実用品の値段を一緒にしないでください」
とたしなめられた。

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