ユーザーの質問に、登録弁護士が回答するシステムのサイトが『精神科医療の裏側』についての記事を載せていた。
そしてその記事について非難が出ていた。
取材協力を受けていた人権団体がアメリカのカルト団体Sが作った組織だったからだ。
Sは日本ではあまりニュースにならないが、海外ではカルト団体としてよく取り上げられる。ハリウッド男優のTなどセレブが熱心な信者であることが知られている。ハリウッド男優のJはSの教祖の本を原作に映画を撮り、ダメ映画に与えられる2000年度のゴールデンラズベリー賞を受賞していた。
実は筆者はかつてSに潜入取材したことがあった。潜入と言っても、Sはウエルカムで一般客を受け入れている。教団施設の入り口もホテルのロビーのような雰囲気で、中に入ると
「Sにようこそ!!」
と明るく案内された。そしてすぐに
「Tのビデオを見ますか?」
と言って映像を流し始めた。
ハリウッド男優Tが壇上で演説をし、広い会場を埋め尽くした観客たちが大歓声をあげていた。
いきなり啓蒙的なビデオを見せて油断させた後には、謎のテストがはじまった。
「トラウマを探すテストをしましょう」
と言って変な機械を取り出してきた。機械から出ている鉄の棒を握らされる。
「家庭、女性、プライベート、仕事……」
と言葉を投げかけられる。うそ発見器のシステムで、反応する言葉を探しているらしい。
「女性で反応が出ました!! ズバリ、あなたは女性問題にトラウマを抱えてますね!! 吐き出しましょう!! 吐き出して楽になりましょう!!」
としつこくしつこく聞かれた。
これはこの教団がよく使う詐欺的な手法だ。
その後は、性格診断テストを一時間ほどかけて受けた。テストの内容は、ふんわりとした抽象的な内容だった。
「あなたはとても素晴らしい資質を持っています。でも女性関係で過去の出来事が邪魔をしています。Sに入会して過去のトラブルを消していけば、今よりもっともっと素晴らしい人になれますよ!!」
と言われた。
その後ビルの内部に連れて行かれ、トラウマを克服する自己啓発みたいなのを何度もやらされた。