罵倒される重度障害者支援の介護職|支援者を差別しているのは障害当事者側なんじゃないかの声

インタビューそのほか

今回は、老人向けグループホームで10年働いた後に、重度訪問介護の事業所に転職した小山さん(男性・50代・仮名)のお話をうかがった。現在、小山さんは介護職を数人束ねるマネージャーをしている。

うつむく男性、なげく男性

※写真はイメージです

※プライバシー保護の観点から、匿名での取材です。写真や人名・地名・年齢は実際のものと変えています。

 

小山さんが介護職を目指したのは、2001年~2002年頃の介護保険法が制定された直後だった。介護保険法の制定で、今後、福祉ジャンルは「食いっぱぐれない」と思った小山さんは、両親の勧めもあり、老人介護の専門学校に通った。小さい頃から近所に住むお祖母ちゃんにお小遣いをねだったり、縁側で話していたりした小山さんは、その延長線上で「お婆ちゃんの介護ならできるだろう」と思った。

 

しかし、ヘルパー1・2級を取得するときに、初めて特養老人ホームに研修に行き、お爺さんの排泄介助を見て「ヤベー」と思った。お婆さんのことは想定していたが、同性であるお爺さんの介護は考えていなかったからだ。正直、同性の下半身丸出しの姿を見るのも嫌だった。

 

それでも、小山さんは「指導を担当してくれた女性がかわいかったから」という理由で、熱心に介護を学び、老人介護を10年続けることになった。

そして、昨年、勤務していた施設の運営方針の変更やキャリアの打ち止めなどの問題にぶつかり、知人に誘われたことをきっかけに、重度の身体障害者を自宅で訪問介護する事業所に転職した。

 

「どちらも経験してみて分かりましたが、老人介護よりも障害者介護のほうがずっと難しいです」と小山さんはため息をついた。

 

小山さんの事業所では、主に寝たきりや車いすなどの重度の身体障害者の方を自宅で介護しているが、介護中に罵倒されるなど、「口撃」に合うことが頻繁にある。それで、心を病んでしまう介護職も多いという。

 

車いす、男性

※写真はイメージです

 

「介護しているのは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)・筋ジストロフィー・脳性麻痺・中途障害の方と幅広いですが、支援内容や技術ではなく、介護士の容姿や体格などを理由にその介護者を拒否する人もいます。私たちはもちろん、障害がある方と接するときに『人』として接するというポジションを取ります。だけど、こちらを差別しているのはむしろ障害当事者なんじゃないかと思うことがあります」

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