触法障害者やひきこもりを産むのは大人たち ~行政保健師の現場の苦悩と告発~

インタビュー

今日は、行政保健師歴18年のTさんが日々現場で抱えている葛藤を伺った。

 

田口 Tさんは行政保健師でいらっしゃいますが

そもそも乳幼児健診の際に発達障害だと疑われて

医療・療育等、専門機関に結び付く方はどれくらいいらっしゃるのですか?

 

T 数値的に言うと、発達障害を疑うお子さんが20人いたとしたら

1人~2人ですね。

早期の段階で専門機関につながることができればよいのですが

(そのように親御さんに働きかけますが)。

 

乳幼児健診の際に医療・療育等、専門機関に繋がれず

就学してから、二次障害を起こして

不登校になるお子さんも多くいらっしゃいます。

 

田口 そういったお子さんに対するフォローは

乳幼児健診の際に終わってしまうわけではないんですよね?

 

T 自治体によりますが、母子保健として保健師が関わるのは就学前までで

その後は教育委員会管轄となるので、実質、終わってしまいます。

 

田口 そうなんですね。

確かに私が住んでいる区でも、こちらから相談に行かない限り

保健師さんが就学後に積極的に関わってくれることはないですね。

では、親御さんはなぜ乳幼児健診で指摘されても

医療・療育等、専門機関に繋がらないんですか?

 

T 園では集団行動が苦手で困り感を持っているけれど

自宅では親御さんは困ってないケースは繋がりにくいですね。

あとは、子の障害を認めたくない方が多いのではないかと思います。

 

田口 では、再度、親御さんから相談を受ける時は

入園して問題行動がみられた時ですか?

 

T そうです。

親御さんからの相談の場合もありますが、保育士さんから相談されることが多いですね。

園では保育士さんは困っているけれども、家庭で親御さんは困ってない。

なので、親御さんに園での困り感を伝えるのはとてもセンシティブな問題です。

 

田口 そんな時は保健師から親御さんに障害の疑いについて話すのですか?

 

T 障害の疑いについては話しません。

なぜなら「障害」の診断をつけられるのは医師のみなので。

こちらからは、「お母さん、何か困っていることはありませんか?」という問いかけになります。

ご家庭で困り感がある場合は親御さんにアプローチがしやすいのですが

ない場合は苦慮します。

 

だけれども、一定数、子の障害を受容できない親御さんがいます。

そういった子供は福祉の支援にも繋がれません。

そういった子供たちがどうなると思いますか?

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