相談支援専門員Nさん③~東京に住んでいると「この子は発達障害だ」とレッテルを貼られる~

インタビュー

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あいである広場では

今後、触法少年・触法障害者も扱っていく予定でいます。

 

ひきこもりが危険!

発達障害者が危険!

ではありません。

 

親が子の障害を受容できず、適切な支援や

養育が受けられないことが触法につながってしまうだけなのです。

 

センシティブな問題ですが

10年以上に渡り、相談支援専門員として障害福祉に向き合ってきた

NPO法人代表のNさんの現場からの声です。

■行政の縦割りの狭間で迷う人々

田口 Nさんはよく批判されていますよね(笑)

 

N そうなんですよ(笑)「なぜNさんがやるの?」とよく言われるけれど、じゃあ私がやらないと誰がやるんですか?」というと、行政の人は答えないじゃないですか。

 

田口 私も占い師として支援に関わるに当たって、発達障害が疑われるケースなどは、Nさんを含む相談支援専門員さんに繋げていますよね。

「占い師なのになぜそこまでするの?」と言われます。だけど、医療や行政、NPOなどのハードルが高いからこその占い師への相談な訳ですよ。その部分がすっぽり抜けているから占い師だけどやるしかないじゃないかと思います。その仲介(医療・行政・NPOなどへの)している人が足りないのかなと思います。

 

N そうだと思いますよ。全部が縦割りですから。この縦割りの仕組みの中で「できない」「できない」と言われて、発達障害の方以外にも、その狭間で悩んでいる人はすごく多いんですよね。そこを工夫すればいいじゃないですか。その工夫の発想が東京には足りないですね。

 

田口 私の知人がもう何年も、全国をお金も持たずに旅をして、旅行先の方に食べ物をご馳走して仕事をもらったりしながら、転々として暮らしています。定住しない暮らし方をしているんですね。その方に「なぜ、みんなそういう生き方をしないのか?」と聞かれた時に思ったのですが、その方はコミュニケーション能力が高いんですよね。同じような生き方を発達障害の人ができるかといったら、できないですよ。

 

N そうですね。発達障害の一番大変な部分はコミュニケーション障害の部分だと思います。

 

田口 支援が受けにくい要因も、コミュニケーション障害の部分が大きいですよね。

 

■東京と地方都市での発達障害者への寛容さの差

N ですが、例えば、山口だと発達障害とは言われず、のびのび育っている方も多いです。でも、東京に住んでいると「この子は発達障害だ」とレッテルを貼られて、学校などから療育を勧められて、療育センターに通うしかないんですよね。大らかに皆が受け入れたら、療育なんか必要じゃないケースも結構あるじゃないですか。

 

■検査はできても、その後の支援がない

田口 ひきこもり支援をしている方によると、ひきこもりの方の多くが発達障害で、その方たちが社会復帰する割合は全体のたったの0.5%という統計が出ているそうなのですが、そういった人たちには今後、どういった支援が考えられるのでしょう?

 

N 子どももそうですが、目黒区には大人に対するソーシャルスキルトレーニング(以下、SST)が受けられる場所はないんですよ。自分を理解しないことには、根本的な解決には繋がらないですよね。そのためにはSSTを受けることは絶対に必要です。だけど、大人の発達障害の方はもう考えが凝り固まってしまっているし、プライドもあるので、「今更、人に何も言われたくない」となりがちですね。

 

田口 大人がSSTを受けられる場所はないんですか?

 

N ないです。少なくとも目黒区にはないです。子供のSSTに関しては病院でやっていますが、大人に関してはないです。

 

田口 大人の発達障害を診断できるお医者さん自体が少ないのですか?

 

N いいえ、います。検査自体をしてしまえば、診断自体は受けられます。でも、その後のフォローはできない。その役目って結局、やはり家族なんですよ。

 

■発達障害の家族性

田口 ですが、発達障害の場合、子供が発達障害だと親御さんもそうだというケースが多いですよね(発達障害の家族性)。

 

N 恋人や夫婦関係など、パートナーの存在が大きいと思います。親子ではダメでも、パートナーの言うことなら、聞いてみようと言う感じにはなりやすいですね。

 

田口 親だと自分の子に対することは、感情論になってしまいますよね。

 

N そうですよね。

 

田口 ですが、私が取材した限り、ひきこもりの方の多くはパートナーがいないんですよ。風俗なんか汚らわしくていやだ、20代の美人処女に自分の童貞を捧げたいと言うので童貞率も高そうです。そうなると絶望的ですよね。どこから支援したらいいの?という話になってしまう(笑)

 

N 目黒区はネットワーク作りができていないんですよ。病院、障害福祉課、相談支援員とのネットワークづくりができていないので、病院でこういう方がいるという情報があっても、ネットワークがないので伝わってこないんです。保健師さんも大人の発達障害の家族会や当事者会など、開いているのですが、情報が伝わってこない。縦割りなんですよね。

 

■家庭内暴力に発展するケースも

田口 周囲を見ていても、重度の発達障害の子供を持つ親御さんの方が、割り切って明るく生きている気がします。軽度の人の方が重度ではないですか?

 

N そうですね。(重度の場合、親が)早い段階で受け入れ(障害の受容)ができているんですよ。私が関わっているお子さんでも、軽度の小学生高学年の子で、家庭内暴力になっている家庭は多いです。子供が包丁を向けるとか、馬乗りになってボコボコに殴るとか。親御さんの関わりがネックなんですけどね。

 

田口 親御さんの関わりというと、親御さんも発達障害なんですか?

 

N そうです。私たちがいくら親御さんに関わり方や声掛けを指導しても親は変わらないです。

 

■統合教育(インクルーシブ教育)のはき違え

田口 国の政策としては統合教育(インクルーシブ教育)の方向に向かっていますね。ですが、取材した限り、子が他害をしようと普通学級にこだわる親御さんも多いですよね。

 

N あれは完全にインクルーシブ教育の履き違えですね。言葉だけを鵜呑みにして理想像を求めている。でも、実際は違いますからね。子供の社会って、手が出るお子さんに関しては止めたりして根本解決していかないといけません。が、それだけの問題では全くなくて、学校は友達との交流の場ではなく、教育の場なので、教育がいかに保証されるかです。普通学級で手厚い保証を求めるのは無理じゃないですか。なので、その子に見合った学級に行かせるのは、親としての責任ですよね。

 

田口 今の発達障害の子供たちは早期発見・早期療育が国の政策なので救われると思います。大人の当事者はどうなっていくんでしょうか?

 

N なかなか現状では救いは見えてきませんね。膨大な人数がいますし、二次障害で精神病院に入院している人も多いですよ。

 

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に続く