相談支援専門員Nさん②~福祉の世界では東京は異国~

インタビュー

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あいである広場では

今後、触法少年・触法障害者も扱っていく予定でいます。

 

ひきこもりが危険!

発達障害者が危険!

ではありません。

 

親が子の障害を受容できず、適切な支援や

養育が受けられないことが触法につながってしまうだけなのです。

 

センシティブな問題ですが

10年以上に渡り、相談支援専門員として障害福祉に向き合ってきた

NPO法人代表のNさんの現場からの声です。

 

■誤診される発達障害者

N 発達障害の方は、二次障害になる人もすごく多いです。うつ等になっていらっしゃる方が多いですね。

 

田口 取材を通じて、発達障害の方は統合失調症と診断されているケースがすごく多いと聞いたのですが、どう思われますか?

 

N すごく多いです。アルコール依存症になる方もいれば薬物依存になっている方もいます。でも、それは社会がどうこうという問題ではなく、ご本人に発達障害の気質があるが故に社会にうまく適応できないという問題が根幹です。きちんとした療育を受けていない(障害福祉の)支援をきちんと受けていないから、お酒・薬物・異性に逃げてしまう方もいます。

 

■発達障害と依存症問題

田口 異性にも逃げてしまうのですか?

 

N そうです。異性に依存するケースはとても多いです。

 

田口 依存は発達障害のどの特性からきているのでしょうか?

 

N 発達障害の独特の特性から、幼少期から社会に適応できないですよね?それで、自信がないままそのまま育ってしまっている。学校、家庭の中ですら、自分は常に認めてもらえない、他の人との関係で違和感がある。自己肯定感が低いままずっと生きてきてしまっている。その方たちが大人になった時に、好きな異性ができたり、好きなお酒ができたりしたときに依存してしまうんですよ。

依存の対象が仕事であれば、いわゆる天才肌で、バリバリ仕事ができる成功者になる方もいるんです。ですが、その対象が、異性であったりすると、衝動性の問題から結婚しても浮気を繰り返すようになったり、異性がいないと自分を保てないという方もいます。常に異性からも認めてもらいたい、評価してもらいたい。嫌なことがあればお酒に走ってしまう。目黒近辺ですと、渋谷・新宿で薬物が手に入りますから、薬物に走ってしまう方もいます。それが二次障害ですね。

 

■本人の障害受容は最後。まずは家族の理解

田口 私は個人的にそういった相談も受けますが、医療と繋がらないとどうにもならず、本人が一番苦しいと思うのですが、それでも発達障害という診断を認めたくないというのはなぜなんでしょうか?

 

N 本人が認めていくのは最後だと思います。なので、私たちは周りから説得していきます。まずは家族から巻き込んでいっています。大人であっても、家族の協力がないと絶対に解決しませんから。家族が一緒にいる方はいいのですが、1人暮らしの方は本当に関わるのが難しいので、孤独死するケースもあります。

 

■東京は福祉の世界では異国と一緒?

田口 では、なぜ、先進国で日本だけが飛びぬけて発達障害と診断される方が多いのだと思いますか?

 

N 地方から出てきた私から見ると、東京というのは独特だと感じます。田舎に帰ると、小さい頃の環境のままなんです。東京は人も支援者もたくさんいます。だけど、全て「できない」なんですよ。私は各々の「思い」の問題が大きくて、「思いがない」とは言いたくないですが東京の方は工夫をしなくなってしまっていると思います。

私は山口県出身なのですが、山口では予算も人手もない中で障害者同士の結婚なんて昔から当たり前なんです。そのご夫婦が出産して、子供を育てていくのも、心配はするけど誰も反対しない。子供を産んだら産んだで、サービスは何もないから、近所の人たちや施設の職員がサポートできるんですよ。でも、東京で同じことをすると「何であなたがそれをするの?」と批判されちゃうでしょう。私は東京って異国だなと思ったくらい。

 

田口 東京が特殊なんですか?

 

N 東京が特殊です。なぜ「思い」で動くのに、そこに対して批判が入るのかなといつも思います。

 

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に続く