みどる中高年発達障害当事者会 山瀬健治氏①~成人を診断してくれる病院を探すのがまず一苦労~

インタビュー

みどる中高年発達障害当事者会」代表

山瀬健治氏①

 

 

■大人の発達障害当事者の会

田口 山瀬さんが運営している

みどる中高年発達障害当事者会」とはどんな団体でしょうか?

 

山瀬 40歳以上に限定した発達障害を自覚する人の集まりです(成人を診断できる病院が少ないので、診断の有無は問いません)。発達障害について言葉ばかりが先行し、既にある情報も療育に偏っており成人(特に中高年)にとって有益な情報を交換する貴重な場になっています。昔は、常連さんが中心だったのですが、成人発達障害がメディアで報道されて新しく来る方が増えました。最近は、毎回1/3以上の方が初参加です。

 

■成人当事者の苦労とは?

田口 私が取材をしていても、子どもに関しては支援がたくさんある。そして、特性が強いほど早期かつ大規模に支援が入り特性が弱く、社会人になって診断された人には支援が全くないという現状があると感じます。救いがないのが大人の発達障害と言われる方たちだと思います。成人当事者として辛いところはどこでしょうか?

 

山瀬 まず、最近思っているのが「何でも発達障害」問題って言ってる人がいるんですが、一言で色んな問題を「発達障害」の一言で括りすぎると思っています。発達障害支援が盛んになっていると言っても、その大半が特性の強いASD児の療育に予算も人的リソースも偏重しています。特に、最近「大人の発達障害(実は成人後にわかっただけで生まれつきなんですが)」が言われていますが、実際の公的支援は精神障害者向けの制度の流用で手帳と就労支援に偏重しています。そういったところに成人当事者の不自由さを感じます。

 

■大人の発達障害を診られるお医者さんは少ない

田口 山瀬さんの主催している当事者会の中で診断に結び付いている方は何割ほどですか?

 

山瀬 うーん、当事者会をみつけてたどり着ける人が少数派だと思います。最近、メディアで成人期発達障害が話題になるので、受診したい人は多いんですが成人を診断してくれる病院を探すのがまず一苦労です。最近では、詳しくない精神科に行って「最近、そういう人多いんだよ、あなたみたいにちゃんと話せる人は発達障害じゃないから」と不勉強な医師に門前払いされるケースが多いと聞いています。なので、そもそも自覚や知識のない人まで含める診断に結びついている人は限りなく少ないと思います。

 

田口 私が取材した中では、例えば目黒区でも検査さえ受ければ成人を診る医師はいるとのことだったのですが予約から診察まで待つとかそういう問題ではなく?

 

山瀬 実は厚労省も、初診待機時間が長過ぎるという問題は把握していて、成人を診断できる医師の育成に連続で予算をつけているのですが全く追いついていません。

 

田口 山瀬さんの場合は、初診までどれくらい待ちましたか?

 

山瀬 私の場合は特殊でして、今の会の代表になる前に運営を手伝っていたときに、私が「診断は(数年前だったので初診待ちが1年単位だったので)諦めている」と言ったら、スタッフが自分の通っている病院の医師に掛け合ってくれて「一人なら」ということですぐに初診につながりました。
実は、今でも当事者会では病院の紹介の話はタブーに近いです。一部の人がメディアで、「当事者会で病院情報が分かる」と書いていますが
非常に迷惑しています。なぜ、診てくれる病院の話がタブーかと言うと不特定多数の参加者さんの前で成人を診てくれると病院名を出すとネットで書かれて、患者が殺到し、自分がかかっているドクターに迷惑がかかるし自分が予約できなくなるリスクがあるからです。ただし、会では裏技を紹介しています。具体的に言えば、ADHDの薬の製薬会社のホームページで検索できるようになっています。ADHDは新薬で薬価が高いから診るけど、ASDは薬が売れないから診ないとはいわないでしょう(笑)

 

※内容は取材当時(2019年8月)