総務省は、今年11月、SNSなどで中傷された被害者の迅速な救済に向けて、中傷の投稿者の情報を1回の裁判手続きで開示できる新制度の創設などを盛った最終報告書案をまとめた。現行の制度では、情報開示請求(インターネットで誹謗中傷をした相手の氏名・住所・連絡先を特定する手続き)には2回の裁判を要する。新制度は早ければ、2021年度には法制化される予定だ。この改正にあたっては、言論の自由との兼ね合いに関する議論があるが、そこをどう考えるかうかがった。
「例えば、大企業の不正を暴けなくなるなどの声がありますが、なぜ不正をインターネットで、匿名で、暴く必要があるのでしょうか。しかるべき機関に告発すればいい。言論の責任があって、初めて自由があります。匿名になった途端、タガが外れる理由が分からない。子どもたちに透明人間になる薬があったら、何をするかという話をします。みんな、好きな女の子の裸を見たいとか、嫌いな奴を匿名で叩きたいとか、モラルに外れたことを言います。だけど、その薬が切れたときには、自分が素っ裸でパソコンに向かっている姿が見られてしまうかもしれない。ネット民なんて存在しなくて、ネット民にも住民票があります。現実の自分もインターネット上の自分も、どっちもリアルな自分なんです」
最後に自分が中傷加害者にならないインターネットとの向き合い方をうかがった。
「自分の生活がうまくいっていなくて、イライラしているときは、加害者になりやすいです。そんなときは、スマートフォンから離れる。
また、SNSで周りと自分の生活を比べない。自分のペースを守り、流されないことが大切だと思います。SNSは自分が発信している放送局のようなもの。見ている人がいることを忘れない。フォローワー数が少ないからといって、友達の友達が自分の投稿を好意的に見るかは分からない。みんながやっているから自分もやるのではなく、言葉には責任が伴うことを考えて欲しい。
また、被害に遭って、つらい・苦しい時でも、死ぬのではなく生きる選択肢を選んでほしい。そのための対処法などを伝えていきたいです。
ネットでの誹謗中傷はカッコ悪いことなんだという認知を広めたい」
時には言葉は刃となり、人を傷つける。しかし、今や生活に欠かせないツールとなったインターネット。今やインターネットとリアルの世界は、切り離せるものではないという認識を持って、上手に付き合っていきたい。
※インターネット被害に遭った際の相談先一覧
総務省㏋より
https://www.soumu.go.jp/main_content/000720649.pdf
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