前回に引き続き、漫画家でADHDの息子のリュウ太君の成長と育児奮闘記を描いているかなしろにゃんこ。さん(51歳)にお話をうかがった。
著書である「発達障害 僕にはイラつく理由(ワケ)がある!」と「発達障害で問題児でも働けるのは理由(ワケ)がある!」の2冊は、アニスピホールディングス(https://anispi.co.jp/president_blog/post-3882/)とあいである広場(https://ai-deal.jp/column/post-4259/)にて漫画評も掲載しているので、是非、合わせて読んでいただきたい。発達障害当事者にも、支援者や親御さんにも役立つ内容だ。
今、リュウ太君は22歳で、紆余曲折の末、自動車整備会社で働いている。母のかなしろさんの家庭内SSTなどのサポートもあり、リュウ太君はやめたいと言いつつも、仕事を続けているという。幼少期や学童期と違った成人期の苦労について伺った。
成人期からのかなしろさんは幼少期・学童期と打って変わって、「手をかけない」ことに徹したという。
「声もかけない。困ったときには相談してね、聞くよという姿勢や声かけはしますが、ほとんどのことを子ども自身にやらせることにしました」
障害児を育てていると、手間がかかることもあり、母子は密着しがちだ。だが、健常児同様、障害児も実年齢に合わせて親離れ・子離れしないと子は自立できない。母子分離を心掛けたという。
「親はいくつになってもあれこれ世話を焼きます。
子どもから、監視されているみたいな気持ちになるといわれ、申し訳なかったなと思いました。
親も一人になる練習をしなきゃいけない。
だから、猫を飼い始めちゃいました」
あふれ出る母性は愛猫や仕事に向けた。
しかし、リュウ太君はコミュニケーションには問題がないが、感覚過敏(五感が過敏なこと)と感覚鈍麻(五感が鈍いこと)を併せ持つ。完全にサポートなしでは暮らせない。
「暑さに対して鈍麻(鈍い)で熱中症になりやすいです。
暑い日や春先なんかに、まだオーバーを着てもいいだろう、分厚い上着を着てもいいだろうと着ちゃうんですね」
自分で熱を感じることが苦手なリュウ太君は熱中症になってしまう。なので、大人になった今も朝、どの服を着たほうがいいというアドバイスは欠かせない。
仕事をすることのきつさはコミュニケーションではなく、体調管理の面だという。
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