本当の強さとは何か|人として空手家として 生きづらさを抱える人に寄り添いたい

障害者ルポインタビュー

空手家で柔道整復師でもある大ちゃん。大ちゃんは、高齢者の機能訓練のトレーニング指導や、QOL向上のためのサポート、フリーの整体師として出張で施術を行う他、空手指導や運動指導、空手大会での審判員を務めるなど幅広い活動を行なっている。

大ちゃん、整体師
今回は、大ちゃんの中学時代から現在までのお話。4月より開講した空手教室についてのお話も伺った。前編もあわせてお読みいただければ幸いだ。

 

中学3年次。秋田県大会で念願の優勝!

県下一の強豪校に進学。大学では国体選手に

 

「僕が入学した中学には空手部がありませんでした。それで、当時野球ゲームにハマっていたのもあって、中学では野球部に入部しました」

 

あれだけ球技に苦手意識を持っていた大ちゃんが、野球部に入部するとは。人間変われば変わるものである。夜の20時まで野球の練習、その後、道場で23時まで空手の稽古。それが大ちゃんの中学時代の日課となった。

 

「球技はやっぱりダメダメですね。野球も全く上達しませんでした(笑)」レギュラーになることもなく、打席に立つこともなく。それでも大ちゃんは、3年間野球を続ける。「空手の大会にも出場はしていました。でも、運動音痴だからいつも試合は一回戦け。2年生になってようやく勝てるようになってきました」勝ち負けより前に、空手も野球もとにかく楽しむ。それが大ちゃん流だ。

 

そんな大ちゃんだが、2年生の秋に出場した県大会で、なんと3位という好成績を収める。

 

「まさか入賞できるとは思ってもいませんでした。僕は小5で空手を始めたので、この時はまだ5級。県大会で入賞するレベルとなると、皆、黒帯です。周りの僕を見る目が一気に変わったのがわかりました」

 

そこからメキメキと頭角を現し、中学3年次に出場した県大会ではついに優勝を果たす。この時の試合でも、対戦相手はもちろん皆黒帯。唯一黒帯を締めていない選手の優勝に会場は騒めく。それにしても、この急成長ぶり。いったい何がどうなっているのか。

 

「野球のおかげですね。これまで、あまり運動をしてこなかったので、基礎的な体力が足りていなかったんだと思います。野球部では声出しをしたり、走り込みをしたり、みっちりと鍛えられました」

 

苦手な球技。それでも打ち込んだ野球。最後までレギュラー入りすることはなくとも、彼にとって野球部での経験は大きな財産となった。この大会で、話題をさらった大ちゃんは、秋田県下一の空手強豪校に進学することとなる。

 

「ここからが大変でした。先輩方ももちろん強いし、同期に一人強い選手がいて、ずっとその下に埋もれて。2年になるまで殆ど大会には出られませんでした」

 

実は、この選手、大ちゃんが優勝を果たした県大会の優勝候補。くだんの大会は、怪我で欠場していたのだそう。

 

「あの大会に彼が出場していたら、優勝はありませんでした。県下一の強豪校ですから、選手のレベルが高くて、レギュラー入りできたのは2年生の秋でした」

 

高校2年次の冬には全国選抜に、3年次はインターハイに出場。インターハイでは、初戦で優勝候補にあたり、一回戦負けするもスコア的にはギリギリの接戦。「もっと強くなりたい。上の世界に行ってみたいと思いました」大ちゃんは、国体の選手要員としてスポーツ推薦で大学に進学する。

 

大学時代はさらにレベルの高い選手たちと切磋琢磨し、国体選手として活躍するまでになった。

大ちゃん、整体師

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