15分きざみで深夜も痰吸引|医療的ケアが必要な子の母たち。自身も医ケア児を2日で亡くした支援者の思い

インタビュー

前回に引き続き、東京都目黒区で医療的ケアが必要な児童のための療育施設「ガブリエル」の代表 松尾 由理江さん(46歳)にお話を伺った。

ガブリエル,目黒区

 

2021年(令和3年)6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下「医療的ケア児支援法」)が成立し、同年9月18日に施行された。https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000794739.pdf

 

この法律により、国や地方公共団体は医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を負うことになった。

 

医療的ケア児とは「日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが不可欠である児童(18歳以上の高校生等を含む。)」のことを言う。

 

それに先駆けて、2019年8月29日に松尾さんは東京都目黒区で医療的ケアが必要な児童のための療育施設「ガブリエル」を設立した。松尾さんは、障害者支援者であり、21歳の長女・19歳の次女・12歳の次男の母でもある。そして、自身も、31歳の時に医療的ケアが必要な長男を生後2日で亡くしている。

 

松尾さんは、出産直前になり、医師より、エコー検査で子どもの肺がないと告げられた。ハルト君は先天性横隔膜ヘルニアで、通常の14%ぐらいしか肺が育っていなかった。すぐに入院となったが、医師からは、「そーっとお腹から取り出して、産声を出さずに手術をすれば大丈夫」と言われていた。しかし、ハルト君は、生後2日で亡くなった。

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