みどる中高年発達障害当事者会 山瀬健治氏④~社会参加できていて心理的に満足していれば自立~

インタビュー

 

みどる中高年発達障害当事者会」代表 

山瀬健治氏 インタビュー

 

 

田口 私は当事者の方の取材は山瀬さんが初めてなのですが、支援者側にとっての「自立」はやはり就労ありきですよね。山瀬さんは当事者として、そこをどう考えていらっしゃいますか?

 

山瀬 ポイントは2つで、経済面と心理面なんですよね。食えていて、社会参加できている実感があれば、立派に自立なんでしょうが、経済面で自立していても心理的に生きづらさが増してしまうなら、それは自立と言えるのかどうか。一方で、社会参加できていて心理的に満足していれば、経済面では自分で稼いでいなくてもいいと思ってます。

 

田口 私もグレーゾーン児の母ですが、理想は一般就労して欲しいという気持ちはあります。ですが、それは完全に親のエゴで、世間体の問題だと自覚しています。でも、支援学級の先生でも「納税できる人間にするのが目標」と言うんですよね。親側もその価値観からなかなか自由になれない。

山瀬さんの親御さんはどうでしたか?

 

山瀬 うちの親の場合、ありがたかったのは、30前後までは働けとうるさかったんですが、ある時から「私の頃と、今は時代が違いすぎる。もううるさいことは言わない」と変な圧力をかけなくなったんですよね。それがありがたかったです。ひきこもりの問題にも関連するんですが、時代が変わりすぎて経済・就労環境が悪化しすぎました。健常者でも、新卒一括採用を逃すとかなり厳しくないですか?その状況で子供に圧力かけても、悪くなることはあってもよくなることはないと思います。

 

田口 それまでは圧力があって、しんどかったということですか?

 

山瀬 ええ。でも、2~3年働いて、適応障害起こしてひきこもるのを3回ぐらい繰り返したのを見ていて「お前は働くと、むしろおかしくなる」とか言っていたので、薄々と何か思うところはあったのかも知れませんね。まぁ、今考えると、まんま発達障害で職場不適応起こしていたんですが、当時は発達障害という概念は知られていませんでしたからね。

 

田口 親の役割って大きいですね。客観的なお母さんでいらっしゃる。大人の当事者の立場から世間の発達障害児またはひきこもりのお子さんを抱える親御さんたちに伝えたいことはありますか?分かってはいるけれど、世間体から逃れられず、親も苦しんでいると思うんですよ。我が子は何を求めていて、どう接したらいいのかと。

 

山瀬 まず、テクニカルな話ですが「子育てについて人に頼るのは恥」とか思わずに色んな制度を知って公的な支援を使い倒しましょう。案外、物理的にも心理的にも楽になると思いますよ。あとは、自分の時代の価値観で、一方的に決めつけないで話を聞いてあげてほしいですね。ひきこもりでも長期化させてしまう親の典型が自分の価値観を一方的に押し付けて子供がこの人には何を話してもムダと心を閉ざしてしまうパターンなんです。

 

 

※内容は取材当時(2019年8月)