臨床心理士 上間春江② ~成功者の特徴を観察した結果~

インタビュー

臨床心理士 上間春江(うえま はるえ)さん

 

 

上間 私は、好奇心旺盛で、いろんなものへのアンテナが高い。

ですが、気が散りやすく、家事や片付けが苦手。

短期記憶が弱いので、何でも書かないとすぐに忘れる。

一つのことをやっていると

「あ、これも!」と、色々と広がり、仕事量が増え

ずいぶん仕事をした気になって

「さて、今日は何をどれくらいやったっけ?」 と振り返ると

やるべき仕事が、さほど進んでいないという事態も多々(涙)

管理系の仕事ができない、事務仕事はミスだらけ…などです(笑)

 

子どもについても、長男、次男ともにかなりとんがっていて、育てにくかったので

「あぁ…子ども達もそうかー」と、長男については2歳過ぎた頃

次男についても4歳頃には、これは特性ありの子だろうなと思いました。

例えば、長男も次男も、見通しと違って思い通りにならないと大激怒(パニック)

こだわりが強い、かんしゃくが激しい、気持ちの切り替えが苦手。

視覚情報に反応しやすく気が散りやすい。

ハマったものはとことん学び、組み立て系の玩具

(レゴ、トランスフォーマー、ルービックキューブ)

などが好きでずっとやっている。

初めての人や場所に慣れるのに時間がかかり

自己表現がうまくできない。言葉での理解や表現は苦手…など。

 

ただし、長男は、事前に予告して見通しを立てておき

納得すれば、すんなりできることが多いです。

また、自分の習慣になってしまえば、やってくれることが多かったです。

一方、次男は、事前予告が通用せず、事前に予告して

「うん、分かった~」と言っても

その時「やりたくない」と思えば、一切やらない頑固さがあり

日常のお世話がとにかく大変でした。

 

次男の場合は、衝動性のコントロールがとにかく難しい様子で

「やりたくない!」となったら、頑としてやらないので

ほんとに、大変でしたねぇ(最近、ずいぶん落ち着いてきましたので

だいぶ楽になりましたけどね)

 

田口 私は「発達障害あるあるラボ2019トークライブ」で

上間さんと出会ったことで、子の障害を受容できた部分があります。

上間さんとは全く初対面の気がしなくて

会っていきなり意気投合してしまいましたよね(笑)

上間さんが明るく発達障害について語っている姿を見て

ものすごく衝撃でした。

 

樋端医師の話の中で「先にリカバリーした人が道を示す

楽しそうに生きている姿を見せることにより当事者は救われる

という話が出てきますが

上間さん自身にもそういった存在がいらっしゃったのですか?

 

上間 次男は、3.11(東日本大震災)が起きた2011年に産まれたこともあり

これから先、親がいついなくなるか分からないような

激動の時代になることを予感し、この変化の多い激動の時代に

幸せに生き抜いていくには、どんな力をつけてあげればいいんだろうと

ある時期関心を持ちました。

それで、世に出ている成功者や、幸せに生きている人を

観察しまくっていた時期がありました

(興味にツボってしまうとトコトンです(笑))。

 

その結果、世に出てうまくいっている人って

何でもできるすごい人とかじゃないんですよ

苦手さや弱さも持ち合わせながら、それをちゃんと肯定しているので

苦手さや弱さを助けてもらえる

「愛されキャラ」の人が多いことに気付いたんです。

 

彼らは、できないことで自分の価値を貶めていないし

「できないままで愛される」という、セルフイメージが高いのです。

とても朗らかな、いいオーラを出していて

結果として、助けてくれる周りの人に恵まれているんです。

その代わり、得意な力でとことん突き抜け、それで他の人が真似できないような

すごい成果を出している一面があったりして。

その突き抜けたでっぱりがあるから

苦手さを要求されないという面もあるんだなと気づきました。

 

そういう人を見ていると、ご本人が「障害」と公言されていなくても

たぶんにそういう(障害)特性ありありだなぁと見受けられることも多くって。

特性があろうがなかろうが

「これが幸せに生きる秘訣だな」と思ったら、

その子の個性のまんまを大切に育むことだったり

自分自身が自分のままで幸せに生きることが大事なんだと思い

そこを子育てでも支援においても、徹底して貫いております。

結果、その子のその子らしさを大切にはぐくむと

障害があるとかないとかにかかわらず、本当にいいご縁に結ばれ

自立できる事例もたくさん見てきました

 

田口 私は大学を卒業して

いわゆるベンチャー企業を転々としていたのですが

ベンチャー企業の社長は本当にそういう人が多かった。

一代で事業を急成長させている人だから、突出した部分がある。

だけど、割と抜けている部分があって、愛されキャラでしたね。

周りで見ていて、社員の方が「大丈夫?」と心配してしまうような

かわいいキャラクターの社長さんが多かったです。

 

私はイベントの宣伝を兼ねてこの記事を書いていますが

イベントの主催企業である

㈱アニスピホールディングスの藤田社長もそうだと思います(笑)

打ち合わせで会社を訪ねたら、約束を忘れて、千葉にいた(笑)

そこで出てきてくれた本部長の方が

「飯野様だけではなく、誰の約束でも忘れます」と必死にかばっていらっしゃって

周りにいい社員さんがいるんだなと思いました。

すっぽかされたこと自体には、腹が立ちましたが、何か憎めない(笑)

 

上間 そうだと思います。

これって、その方の自己肯定というか

自分の苦手さを自分で責めたり否定したりしていないことが

大きいんだと捉えています。

自分を責めたり否定していると、どうしても、周りからも責められたり否定されたりが

あると思うのですけどね。

自分自身がそこを認めていると、周りからも認められるという

自分が発しているものに引き合うご縁に恵まれる

というのがあるんだと思います。

 

※内容は取材当時(2019年9月)