臨床心理士 上間春江① ~自分のADHDの特性に気づいた学部時代~

インタビュー

臨床心理士 上間春江(うえま はるえ)さん

 

田口 なぜ、上間さんは臨床心理士を目指したのですか?

 

上間 大学の学部選択をいろいろ検討している時

どれもこれもピンとこない中

「心理学」というタームに惹かれたことがきっかけです。

 

いわゆる、世にある深層心理を探る、といった心理テストに興味を持っていて

そのたぐいの本をよく読んでいた高校時代から興味があって

心理学系の学部を選択。

 

ただし、当時、臨床心理系の学部は人気が高く

私には難しかったので、教育系の教育心理学コースを選択。

そこでは、教育系と心理系の2つを学びました。

 

学生時代も、塾講師(大人数~少人数)、家庭教師、教育実習

自閉症児へのボランティア、相談員ボランティアなど

「教育×心理」のカテゴリーでたくさん活動する中で

私は、大人数を相手にするより

個に深くかかわる方が得意だと分かり

臨床心理士を目指すことにしました。

 

田口 それは、ご自身の特性と関係がありますか?

 

上間 臨床心理士になったのは、自分の特性というよりは・・・

次の3つの理由が大きいですかね。

一つは、心についての興味、二つ目は、個に深くかかわることが得意という自覚

三つ目は、専門的に深く知りたい

みたいな感じですかね。

 

田口 ご自身の特性やお子さんの障害の受容はすぐにできましたか?

 

上間 一応、うちの家族で、診断がついている人はいません。

なぜなら、病院を受診していないので^^;

ただ、家族全員、特性ありありなんだろうなという自覚はあります。

なので、診断を受容というより

「私たちって、こういう個性だね」っていう理解を

家族全員で明るく話し合っている、という感じですかね。

 

受診したら、診断つくかもしれませんが

今のところ、夫婦ともに仕事をしていて、経済的に自立しており

子どもも、特段、大きな不適応で困る状態ではない、という意味で

現実適応できていると考えられるので

「特性あり」だけど「障害状態ではない」という

判断になるのではないかなと思っています。

 

ここを前提においた上で、自分や子どもの特性理解についてですが…

まず、自分の特性についての自覚は、大学4年生のころでした。

その頃、ちょうど、MBD(微細脳機能障害症候群)とか

ADHDとか、アスペルガー障害などの障害名がちょこちょこ授業で出てきて

特別支援教育もこれから本格的に導入されるという頃で。

 

授業で、ADHDと呼ばれる子どもたちの教室での一コマを見る機会がありました

私はそれを見て

「びっくり!!!! あれれれー?

ここに写ってる子、まんま、私じゃん!!」と驚いたんです。

 

今まで、散々、ダメ出しばっかりされてすっごい怒られてきたけど

「私って、もしかして、ADHDだったんじゃないの!?

だとしたら、私って、叱られる子じゃなくて

支援されないといけない子だったんじゃないのー?」

という衝撃的な授業がありました。

 

そこから、学部卒業後、中学校で相談員を2年勤めた後

大学院に進学し、さらに専門的な学びを深め

都内の教育相談室などで臨床実践を積む中で

発達障害について学ぶことになりました。

 

そして、間違いなく、自分には特性があるなと自覚しました。

 

※内容は取材当時(2019年9月)