診察に付き添うにあたって、母が通院している大学病院のソーシャルワーカーにも事前に相談した。ソーシャルワーカーによると「患者さん側から希望を言わないと、勧めない医師も多いので、診察の際に緩和ケアを受けたい旨を医師に伝えてください。そうすれば、緩和ケア病棟の医師が治療チームに入ります」ということだった。認知度が低く、主治医の主眼は抗がん剤にあるような気がした。
また緩和ケア病棟の入院費は高額だ。
1日の入院料の自己負担分
「緩和ケア病棟」として認可を受けた施設の場合、医療費は定額制です。
「緩和ケア病棟入院料」は1日当たり37,800円となっており、この金額には健康保険が適用されます。ですから健康保険で3割負担の方の場合、1日の自己負担額は37,800円×0.3=11,340円になります。
またソーシャルワーカーによると、入院できる時期も決まっており、料金も高額なことから、緩和ケア病棟への入院は現実的ではないという。
お金がふんだんにあれば有料老人ホームに入居するという手段もあるが、母の場合、在宅で緩和ケアを受け、終末期を迎えることとなる。
母ががんになって一番に感じたのは、母自身の希望が一番だということだ。どう死ぬかはどう生きるかにつながる。母の死は母のものであり、母の人生なのだ。これから筆者は、自宅での介護に向けて、要介護認定の申請手続きに行き、母の「治療チーム」の再結成が始まる。