青木ヶ原樹海で出会った、幻聴に殺されかけた姉妹

障害者ルポ

幻聴が聞こえるという精神病はいくつかある。
たとえば統合失調症では幻覚の症状が現れるが、中でも多いのは幻聴だ。

 

自分に対する意見や、批判、侮辱的な言葉が聞こえてくるという。
統合失調症なのかどうかはわからないが、おそらく幻聴が聞こえているのではないだろうか?
という人に会ったことがある。

 

その人は森の中で、死のうとしていた。
もう15年以上前、雑誌の取材で、青木ヶ原樹海へ取材に行くことになった。
担当の女性編集者と自動車で現場に向かった。
目的地は、樹海の中にある新興宗教施設だった。
大体の位置しかわからずに現場に向かった。
精進湖の近くにあるレストランで、店員のおばさんに話を伺った。
「ああ、アソコね。歩いていくのは大変よ。
裏側に登山道があるからずっと登っていくとあるらしいですよ」と言われた。

 

助言のとおりの道順を歩いていくと、たしかに登山道があった。
ほとんど使われていないのか、枯れ葉が積り少し荒んだ雰囲気だったが生きた道路だった。
しかし地図には目的地の施設は載っていない。
どこまで歩けばいいのかわからずに進んでいくというのは不安なものである。

 

最初はアスファルトで舗装されていたが、すぐに砂利道になった。
左右は深い樹海である。かなり遠方で
ケンケーンと勢いよくシカが走っているのが見えた。
しばらく進んだところで、道が二股に別れた。
ただ片方の道は獣道と見間違うほど荒れた道だったので間違うことはない。

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