共感覚者の彼女の人生~多数派とは異なるユニークで厄介な認知・記憶様式~

障害者ルポ

【都内有名私大卒のハイブリット(ADHDとASD併存型)キャリアウーマン】

今回、紹介するのは、23区の高級住宅街の一角のマンションに住む
大橋美香さん(仮名 45歳)だ。

 

彼女は小学生の息子を育てるシングルマザーで
都内某所のベンチャー企業に勤める快活な女性だ。

 

都内の有名私立大学を卒業後、ベンチャー企業の経理部門で
主にIPO(株式公開)業務に携わってきた。

 

大橋家を訪ねたのは、平日の19時で、食卓には刺身を中心とした

和食料理が並んでいた。

 

ダイニングテーブルでは、小学校3年生にしては小柄な少年が

エジソン箸(子供用矯正箸)で黙々と夕飯を食べていた。

 

彼女は「小学校3年生にもなってエジソン箸を使っているなんて

甘い母だと言われそうですが、息子にも発達障害の傾向があるので

手先が不器用なんです」と恥ずかしそうに言った。

 

発達障害の傾向のある人の中には、手先が不器用だったり

乳児期に寝返りが下手くそだったりと

発達性協調運動障害(DCD =Developmental Coordination Disorder)がある人がいる。

 

「子供が二次障害になることを一番恐れています。

なので、できないことを叱るより、補助具があればそれを利用すればいいというのが

私の育児方針です」ときっぱりとした口調で言う彼女は芯の強そうな女性だ。

 

ベンチャー企業での激務と育児を両立させることは大変なことだろう。

大橋家は高級住宅地にある、1DKのマンションに、所狭しと物が置かれていて

決して広くはない。

 

しかし、雑然としているものの、規則的に物が並んでいるのは

彼女のASDの傾向からだろうか。

 

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