「人をひき殺しても我が子の運転は止めない」という発達障害者の親たち

障害者ルポ

 

離婚の際には裁判にまで発展し、揉めに揉めたが、2年後に離婚が成立した。我が子にも発達障害があるのではないかという不安は頭から離れず、筆者は様々なSNSで、当事者及びその支援者のグループに参加することとなった。

 

あるSNSで筆者は元夫の例を出し、問題提起をした。「多動性障害や注意欠陥障害などで、事故を頻繁に起こす自分の子供から免許を取り上げないのは、おかしいのではないか。また成人当事者の方はそれをどう考えるのか。私の元夫のような人が増えれば、発達障害者全体への差別が助長され、いずれてんかんの患者と同じように、免許も許可制となるのではないか」と。投稿したところ、いつもすぐさまにつく、コメント欄になかなかコメントがつかない。

 

そして、ついたコメントは目を疑うものだった。多くの親や当事者は「発達障害者を差別するのか。発達障害者とてんかんの患者を一緒にした!てんかん患者と一緒にするな!」「自分はかする程度の事故から、人身事故まで年に数回起こすが、車を運転している限り事故を起こすのは誰でも一緒ではないか」「自分の子供は何度も事故を起こしているが、本人が乗りたがっているのに、免許を取り上げるのはかわいそうではないか」「運転免許を持つことは権利だから、人をひき殺したとしても事故なのだから仕方がない」「住居の自由は憲法でも認められた権利なのだから、引っ越す必要はない」といった身勝手なコメントが続いた。

 

グループの中には当然、私と同様の考えの親御さんや当事者の方もいた。「頻度の問題で、頻度が高いようであれば、自主的に運転をやめるべきだ」「人を殺してまで運転する権利など誰も持っていない」「運転を控えている自分のような発達障害者にとって、事故率の高い人たちは迷惑な存在だ」といったコメントも当然出た。しかし、そういった声を上げる投稿者はごく少数だった。そして、そういったコメントをした人たちと投稿者の筆者は「差別者」としてグループから退会させられた。

 

いったいてんかん患者や発達障害者を差別しているのは誰なのか。自分たちの権利を主張し、他害さえ良しとする身勝手さはどこからくるのか。筆者は激しい怒りを覚えた。

 

その際に、グループ内にいた臨床心理士の男性から一通のメールが届いた。「あなたが書いていることは正論ですよ。だけど、彼らには通じません。なぜなら彼らは発達障害者だからです。当事者はもちろん、当事者の親ですら未診断の発達障害者である確率が高いですよ。黙って退会するのが正解です」という内容のものだった。

 

そこから数年間、我が子の療育センター通い、親や介助者、当事者との関わりから、そのメールの意味が筆者に分かるようになっていった。発達障害者が社会で暮らすことで、一番のネックとなる特性が「コミュニケーション障害(ASDの場合)」という部分だと実感したからだ。

 

筆者は確信している。このままいけば、近い将来、発達障害者が自動車を運転するのは危険だ、免許の取得は許可制とすべきだという声が世間から上がることを。

 

そして、現在、筆者は離婚しているが、慰謝料・養育費は離婚後、一度も支払われていない。元夫は離婚裁判が終わった「お祝い」に高級なスポーツカーを購入し、ローンを全額残したまま、

1か月で自損事故を起こし、廃車にしたからである。もちろん、事故率の高さから、車両保険は高額となり、保険には未加入だった。

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