「泣いてる子供の口にクッションを押し当てる」「オロオロといっしょに泣き出す」育て方が分からない、発達障害者の親たち|育てられた子供は愛着障害で一生を台無しにすることも

障害者ルポ

発達障害者にインタビューをしていると「子どものあやし方が分からない」「結果的にネグレクトや虐待に至った」という話を多く聞く。

 

今回は、筆者の元夫が子供に対して行っていたネグレクト行為(放置、育児放棄)について触れたい。元夫はASDとADHDをあわせ持っていた。発達障害は遺伝だという説と環境が原因だという説がある。筆者は発達障害の傾向は元夫だけでなく、義母にもあったと感じた。

 

筆者はDV傾向のある元夫と離婚がしたかったが、元夫は離婚をしたくはなかった。あろうことか、元夫は息子を人質にとる形にした。筆者はただちに子の引き渡し審判・調停を起こしたが、子供とは半年ほど会えなくなってしまった。当時、仕事で不在の夫に代わり、育児は義母がしていたという。

 

筆者は、元夫と義母と同居していた時、彼らの「息子に対する接し方」に違和感を持っていた。審判と調停が進む中、夫の陳述からどんどんその違和感の正体が明らかになっていった。

義母の育児に対する姿勢だ。元夫の両親と同居していた筆者は、子供ができた際は、義母にいろいろ教わろうと思っていた。だが、義母の子育ての仕方は、ずいぶんとおかしなものだった。

 

例えば、息子が泣いているとき、義母はおむつの交換やミルクの心配はしない。あやさない。ただ横にいて、「何がそんなに悲しいの?辛いことがたくさんあるんだね」と一緒に泣き出す。新生児は空腹や不快感など、全ての欲求を泣いてうったえることしかできない。なぜ「悲しい」「辛い」という方向に考えるのか理解ができなかった。しかし、後に取材をするにつれ、発達障害の傾向を持つ人に珍しい話ではないと知った。

 

取材した中には自分の弟の子守を母から頼まれた際に、窒息死させかけたという発達障害当事者の話もあった。発達障害の特性の一つに、抽象的な表現を理解できないというものがある。「あやす」という言葉はとても漠然としている。具体的に何をするのかが分かりにくい。その当事者は「あやすこと」を理解できず、新生児の弟を泣き止ますために顔にクッションを押し付けた。その光景に慌てた母親に止められて、事なきを得た。このように発達障害者の中には、育児が困難な特性を持つ人もいる。

 

元夫は陳述書の中で「妻は泣いている子を放置して、ただ横で眠っているだけだった」という嘘を書いた。夫は、昼間は仕事をしていた。夜は翌日のために早く寝てしまう。新生児は3時間置きに授乳しなければ死んでしまう。なので、筆者が子どもを放置して寝ていたら、子どもは1歳まで育っていない。裁判官にその点を突っ込まれる。裁判官は「あなたは昼間、仕事で家にいないと思うのですが、誰がその様子を見ていたのですか。また、その姿を見て、どうしたのですか?」と元夫に尋ねた。元夫は「母が見ていました。母は部屋の入口から、室内を見たと言っていました」と答えた。さらに裁判官が「お母さんは見ているだけで、息子さんを抱いたり、あやしたりしなかったのですか?」と聞いた。元夫は「はい。ふすま越しに息子を眺めていただけです」と答えた。そこで裁判所にいる全員が、一斉に元夫を異様な目で見た。元夫には弟妹がいるが、彼が見てきた母の育児は、そのようなものだったのだろう。だから、元夫には何がおかしいのか分からなかったのだ。

 

筆者側は元夫宅で起きた、子へのネグレクトを主張した。しかし、元夫は心底腑に落ちないという顔をしていた。

 

筆者が息子と引き離された1歳~2歳までは、子どもの心身の成長に大切な時期だ。「あーあー」「うーうー」などの喃語を話し始め、だんだんと「ママ」「パパ」「ブーブ」「マンマ」といった意味のある言葉を覚えていく年齢だ。しかし、まだまだ泣いて欲求を訴えることが、多い。

「泣いているのは悲しいからだ」という理由で、義母が一緒に泣いていたのであれば、息子の「お腹がすいた」「おむつをかえて欲しい」「抱っこして欲しい」といった欲求は無視されてしまう。それは「無自覚なネグレクト」につながる。その結果、息子は反応性愛着障害を発症した。家の中にいる大人の誰もが、義母の育児に対して、何の疑問も持っていなかった。

 

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