普通に暮らしているだけで全治2か月の大けが!!黒板の文字を書き写せない!!|中卒ライターの「見えない」障害

障害者ルポ

 

彼女は「1を知ったら10を知ること」が難しく、問題の処理スピードが遅い。そのため、仕事を早くこなすことが難しいという検査結果だった。

そして、ADHD(注意欠陥多動性障害)もあるため、ミスも多い。規則や決まり事の多い会社勤めは、みきさんにとって難しかった。

 

「診断を受けた時はお医者さんに、なぜ今まで気づかなかったのかと言われました。昔は発達障害という考え方自体がなかったし、母がおおらかな人だったので『個性だと思っていた』と言われました。だけど、学校では叱られてばかりの中、不登校になっても何も言わなかった母に救われた面もあります」

学校でも、家庭でも叱られていたら、彼女は完全に居場所を失っていただろう。

 

彼女の今の悩みは上記の特性によるケガが多いことだという。

「普通に生活していてもしょっちゅうケガをします。『目で見て物をとらえる速度』が遅いので、部屋の中でも家具にぶつかってしまう。ハトが飛んで来たら、普通はよけられるじゃないですか。私はそれができないので、顔面にハトがぶつかって驚いたこともあります」

机が目の前にあっても、とっさによけることができない。生傷がたえない。

 

今まででした一番のケガは、部屋の畳から立ち上がるときに、ひざを強打したことだ。そのときには、じん帯を損傷し、半月板がはずれてしまった。医師からは「一生、車椅子になるかもしれない」と言われる。幸いにも、手術が成功し、今も歩けている。だが、入院2か月、リハビリ半年の大けがだった。ADHD(注意欠陥多動性障害)もある彼女は、他のことを考えていると、赤信号を無視してしまうこともざらだ。ケガなく生きていくだけでも苦労がある。しかし、取材中に彼女と話しても、どこにでもいる40代女性にしか見えない。分かりにくい障害・見えにくい障害なので、周囲の理解を得るのが難しい。

 

だが、フリーランスのライターとして、一人娘を育てあげた。仕事が遅くミスも多い彼女は人の1.5倍、ときには一日20時間働いた。年収300万円ほど稼いできたという。母子家庭手当や子ども手当などを入れたら、充分に生活できる年収だ。

 

そんな彼女が自分の障害を語る口調が明るいのは、経済的に自立できているからという面は大きいだろう。

 

「取材相手は会社の人とは違って、自分のお店や事業を宣伝して欲しい気持ちがあるので優しかったです。自分の仕事を評価してもらえました」

彼女の場合、低かった自己肯定感は仕事をすることで、克服できたようだ。障害があろうと明るく生きている人は、自分の特性にあった環境を見つけられた人たちだ。発達障害者にとり、自分に合った仕事や環境を見つけられるかは、楽しく生きられるかの大きなポイントとなる。彼女のように、コミュニケーションが苦手ではなく(営業ができる)当事者にとっては、テレワーク・在宅ワークは経済的自立への選択肢として大いにありだろう。

 

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