実は筆者もそういった状況下で絶望している親と接点を持ったことがある。
私が自営業をしているときに、インターネットでの営業妨害にあったのだ。たまたま本人が書いてきた内容から、親の家業が分かり、電話をした。電話の第一声で本人の名前を告げたところ、母親は第一声で「今度は何をしたんでしょうか。いくらお金を支払ったらいいでしょうか」と憔悴しきった声で言った。
何度も事件を起こしているが、本人に病識はなく、インターネット回線を止めると暴れるため、誹謗中傷やストーキングを繰り返しているが止めるすべがないというのだ。
その都度、慰謝料を払い解決してきたという。
当時の私はまだ子供がいなかったが、現在、男児を育てる母としていずれ子どもに力でかなわなくなったときに、子どもが部屋に立てこもり、事件を起こし続けたら、止めるすべがなく、子育てというのはリスクが伴うことだと実感する。
親は力なく「娘は統合失調症なのでしょうか?」と筆者に聞いてきたが、娘ならば、父親が早期のうちに病院へ連れて行くことはできなかったのかという疑問も同時に持った。
この漫画の中では筆者が遭遇した事件よりもより深刻なケースが多数紹介されている。
未成年殺人事件は約10年前と比べて減少傾向にあるが
家族を被害者とする殺人事件は増加しており
全体の約半数を占めている
たしかに兄弟や家族は逃げ腰で、世間体を気にし、偏見の強い傾向があると感じるが、精神疾患や障害に対する世間の目を考えると、一方的に非難できず、家族だけでの解決は困難なケースも多々あると思う。
しかし、保健所など行政も及び腰、相談してもたらいまわしとなるケースも多く家族だけの問題だとは思わない。
早期に行政や病院と連携が図れる制度の確立が急務である。
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