元火葬場職人に聞く『焼き場のリアル』~起き上がる遺体、立ちのぼる黒煙、吹き出す水~


民営化することで悪い点もあった。
民営になり職員の給料が下がることがあった。また2年更新で競売があるため、会社が変わってしまう事態が起きる。すると今までいた職員は基本的にいなくなってしまうのだ。 つまり技術のあるベテラン職員がいなくなるのだ。
「斎場職人は知識や技術が必要です。マニュアルを読むだけで身につくようなスキルではありません。ベテランがいなくなってしまうと、技術が伝えられなくなりますから非常に困りますね」
ただ、公務員時代にもそれはそれで悪い点はあった。
「会社に入ってから火葬業務のヒマな時に施設内を掃除していたのですが、公営時代のものがたくさん残っていました」
スーパーファミコン、野球セット、バドミントンセット……ヒマつぶしに遊ぶ道具ばかりだった。
「野球をやってた後にお骨上げをしたら親身な気持ちになれないですよ。
当時からの職員は妙に陽気な雰囲気でお骨上げをする人がいました。今の若い人たちは、もっと丁寧に作業しています。これから変わっていくと思います」
下駄さんの働いていた斎場では、焼き場とお骨上げの2つの仕事を交互にやるシステムだった。そして入っていきなり、人を焼く現場を見させられた。
「最初にかなり衝撃的な場面を見ました。焼かれた遺体は筋肉が収縮して起き上がり、ねじれて、こちらと目があったような気がしました」
今思えば、先輩たちはわざと最初に激しい現場を見せたのだ。
当時映画『送り人』が流行っていたため、「映画を見ました!!」と言って入社してくる人が多かった。そういう人たちの多くは、長くは続かず、2~3日でやめた。
先輩たちは、そういう人をふるいにかけるためにわざと強烈な場面を新人に見せたのだ。
「人が火に焼かれて燃えていく様は、どうしたって気持ちが悪いですよ。それは誰でもそう感じると思います。
ただ僕は、親族の方たちと直前に会っていました。その人達は、焼かれる遺体をみても『気持ち悪い』とは思わないでしょう。だから僕も、焼ける遺体に対して『本来は気持ち悪いものではないんだ』って思うことができました。それでやめずに続けることができました。
ちなみに初日には歓迎会があったのですが、焼肉屋でした。ホルモン多めで。ひどいですよね(笑)」