孤独死した独居老人の特殊清掃現場を取材。~時間と共に増す臭い群がるハエ~

遺体はすでに警察によって搬出されていたが、彼はどうやら玄関に向かうように倒れて亡くなったようだった。風呂場と玄関には吐血した痕があった。病気で苦しくなって、外に出ようとしたのかもしれない。
職員が防護服を着ているのは伊達ではない。警察は「死因は不明」と判断した。つまり感染症の疑いもあるため、しっかり防護して作業しなくてはならないし、除菌もしなければならない。

廊下の倒れていた場所には髪の毛がごっそりと落ちていた。
「髪の毛は頭蓋骨に乗っているだけなので、死後しばらくすると頭皮ごと落ちるんですよ。警察も髪の毛は回収しないことが多く、現場に残されていますね」
髪の毛や流れた血のあとには、しっかりと除菌をした。
今回の廊下はクッションフロア製(ビニール製の床材)だったため、バリバリと剥がした。体液で汚れた壁紙も剥がしてしまう。
木製(フローリング材)だったり、畳だったりすると、撤去するのも厄介だ。
床下まで体液が流れ込んでいる場合は、清掃が非常に困難になる。配電線に体液がかかり、線を伝ってすみずみまで液が広がることもある。完璧に清掃するには、一旦全部取っ払ってから洗浄する必要があるが、基本的にはそのような処理はしない。
「剥がした畳は一旦会社の倉庫に持ち帰って洗って干してから廃棄するのですが、乾かしていたら段々と人の形が浮かび上がってきたことありました。さすがにちょっとギョッとしましたね」
死体があって汚れた場所は清掃したが、それ以外の場所はほぼそのままにしておいた。