『汚部屋そだちの東大生』ブックレビュー。業者目線で見てもヤバいA級ゴミ屋敷で共依存する親子の物語。

まず第一に部屋数が多い。ファミリー向けのマンションのようだ。部屋が広ければ、それだけたくさんゴミを溜め込める。主人公が中学校の頃からゴミ屋敷化がはじまっているようなので、ざっと10年程度だろう。アルバイトしていた時は10年くらいの物件が多かった。おそらくそれくらいで生活がにっちもさっちもいかなくなるのだ。以前、10年間ゴミをためた部屋を清掃したところ、2トンロングのトラック4台分以上のゴミが出た。この部屋は、そこまでではなさそうだがかなり多いことは間違いがなさそうだ。
そしてゴミの質だ。
「ゴミに質もへったくれもないだろう」
と思うかもしれないが、これが大いにある。
例えばゴミのほとんどが雑貨の部屋は、運搬は大変だが、汚くはない。これがゴミ質がいい部屋だ。食べ物を定期的に残し部屋にうっちゃっていたり、生理用品など汚物をためこんでいたりする部屋は、運搬はさほどでもないが、汚いので精神的にキツい。これが質の悪い部屋だ。ゴキブリも大量に発生しているようなので、かなり質は悪そうだ。
アルバイトが辞める理由は、体力的にキツいよりも、精神的にキツい方が多かった。特に男性は、女性の部屋特有の汚れが耐えられないようだった。
そして、一番大変そうなのは、家主であるお母さんがめんどくさそうな人であることだ。
この漫画は、母親が娘がゴミ屋敷で共依存していく話だ。母親はただ単にだらしないだけではなく、優しく笑顔で自由を奪っていく。ゴミ屋敷の中で苦労をして東大に入学するものの、それでも母親の支配からは抜けられない。カルト教団の二世信者が、自分がカルト教団にいることになかなか気づけないように、主人公もなかなか自分の部屋がゴミ屋敷だと気づけないのだ。主人公が友達に助けられながら巣立ちする姿には胸を打たれた。
そんなお母さんが、一筋縄でいくわけはない。清掃人にも強く文句を言うだろう。
「それはゴミじゃないです、捨てないで!」
「全部、一旦私に聞いてください! 勝手に捨てたら訴えますよ!」
などと怒られる声が聞こえてくるようだった。
ハミ山クリニカさんの経験をベースにした、半自伝的漫画『汚部屋そだちの東大生』。
読んでみてはいかがだろうか?
そしてついでに拙著『ゴミ屋敷奮闘記』も読んでいただけるとありがたい。