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青木ヶ原樹海に落ちていた不思議なモノたち~苔むしたヘルメット、吊るされたブーツ~

樹海のおとしもの

 テントから少し離れた場所で、顔の部分がライターで焼かれた免許証と、ミュージックテープを見つけた。
ミュージックテープを家に持ち帰り聞いてみると、荘厳なクラシックが流れた。人生の最期にこの音楽を聞きながら歩いて来たのだろうか? と思うと背筋がゾクッとした。
その後、時代の変化とともに音楽を聞く機材も変わっている。CDの束を見つけたり、MP3プレイヤーを見つけたこともあった。MP3プレイヤーの中身を見てみると、サザンオールスターズの曲が入っていた。なかなか、爽やかな音楽を聞きながら歩いていたようだ。

服が捨てられていることも多い。背広が見つかるとおそらく自殺者のものだろうなと思う。樹海を自然を満喫するために散策する人は、普通は背広では来ないからだ。トランクスなどの下着が散らばっていることも多い。樹海散策者に聞くと、下着が散らばっているそばには自殺死体があることが多いという。しばらく樹海で過ごした後に死ぬのだろう。下着などは洗って干したりしたのかもしれない。土の中から白いものが飛び出ているのを見つけ掘り起こしたら、ブラジャーだったこともあった。白骨が埋まっていた。頭蓋骨は腐って土に帰りかけていたが、ブラジャーはしっかりと残っていた。化学繊維はとても強いのだ。人間が腐りはてて解脱しても、しっかりと形を残す。

樹海を歩いていて一番奇妙だった落とし物はブーツだ。散策中にふと上を見上げると、かなり高い位置にブーツが引っ掛けられていた。枝にヒモで括ってある。しばらく歩くと、二足目もかけられていた。


見た目がジョークっぽいので、笑ってしまったがよく考えると気味が悪い。
まずなぜ樹にブーツを吊るしたのかが謎だ。干すためかもしれないが、だったらなぜそのまま放置して持ち帰らなかったのか? やはり答えがわからなくて気持ちが悪い。 同じく不気味な落とし物に、バイクのヘルメットがあった。ヘルメットの内側のスポンジの部分はすっかり水を吸って苔むしていた。


なぜヘルメットを持って樹海の中に入ろうと思ったのか? そしてなぜヘルメットを捨てたのか? 捨てて帰ったとしたなら、彼(彼女)はノーヘルで帰ったのだろうか?

おそらくヘルメットの持ち主は樹海の中で亡くなったのだろう。
怪談のような怖さのある落とし物だった。
最後に教訓を言うとするならば、樹海に行った際は何も残さずにキチンと家に持ち帰ろう。