潜入取材のススメ? 『カルト宗教』『マルチビジネス』『危険地帯』|ミイラ取りがミイラにならないように気をつけよう


マルチビジネスはなんとかごまかしきったが、自己啓発セミナーは上手くいかなかった。
「不自然な形で入ってきたヤツ」
とチェックされていたのだろう、講義の途中で講師が、僕に指をさして
「お前はだいたい怪しいんだよ!! スパイか!!」
と怒鳴った。
僕は超混乱したが、
「下手に言い訳したらバレてしまう」
と思った。ならば
「めそめそ泣いたら、潜入とはバレないかもしれない」
と考えた。
そりゃそうかもしれないが、泣こうと思ったって、なかなか泣けないだろ? と思うかもしれない。
でも、その時はポロポロポロと涙が溢れ出た。人間追い詰められるとなんでもできるものである。
講師は泣いている僕を見て、それ以上深くは追求しなかった。僕が潜入してきた中でも、ピカイチでヤバい状況だった。
「もうちょっとコネとか使って上手いこと潜入したらいいんじゃないの?」
と思われるかもしれない。
実は一度、すごく後悔したことがあるのだ。
とある人物が編集部に
「ハニートラップをする毛皮屋にツテがある。潜入するなら手引ができる」
と持ち込んだのだ。そして編集部はその話を真に受けて、僕にその毛皮屋に潜入するように依頼された。
会場に行くと、50万円超のショートカットの毛皮のコートを、30歳前後の女性に全力で押し売りされそうになった。のらりくらりとかわしながら、
(ハニートラップという感じではないなあ)
と思った。最終的には断って帰ったのだが、女性は猛烈に怒りをあらわにし、
「あんたなんか一生幸せになれないよ」
と捨て台詞を吐かれた。
そしてそれをそのまま記事にした。
そこまでは良かったのだが、後日その記事は毛皮屋の人の目に止まったらしい。
そして“とある人物”が手引きをしたとバレて問い詰められたらしい。
それで、まんまと僕の携帯電話番号を教えた。見知らぬ番号から電話がかかってきて
「村田さんやってくれましたね。事務所でゆっくり話しましょうか」
「謝ればすむって問題じゃないでしょう。じっくりと教えてあげますよ」
などと、脅迫にならない程度に電話で脅された。反社会的勢力やそれに近い人達に脅されるのは
とても嫌なものだ。
結果的に命は落とさず、怪我もせずにすんだから、良かったが大変後悔した。
それ以降、
「変なツテとかコネとかに頼るのはやめよう!!」
と心に決めたのである。
関係ないが僕にハニートラップ毛皮屋を紹介した人物は、数年後に薬物のオーバードーズで孤独死したそうだ。