子供たちがカルト宗教の信者になる日|普通のサークルに入ったはずなのに、いつの間にかカルト宗教の手先になった男性の話

藤倉さんの知り合いが、大学時代にカルト信者になって教団の駒になって活動するようになるまで、を具体的に伺った。
Aさんは、大学に入学してしばらく経った頃に「サッカーサークル」に入りたい、と思うようになった。
新歓期ではなかったので、公認サークルが勧誘活動をしてはいなかった。
大学の学食で話していると、大学生に話しかけられた。
「サッカーに興味があるんだ」
と話すと、相手は
「うちはサッカーサークルなんだよ。早朝にサッカーやってるから、良かったらおいでよ」
と誘われた。
Aさんは特に疑わずに、早朝に待ち合わせのグランドに行った。
グラウンドには人が揃っていて、実際に皆でサッカーを楽しんだ。
公認サークルではなかったが、大学にはインディーズのサークルや、インカレサークル(インターカレッジ・サークル 複数の大学の学生から構成されるサークル)はたくさん存在するので、なんの疑いもわかなかった。
ただ少し変だったのは、大学のサークルなのに、部室がマンションの一室だったことだ。
何室も部屋があるかなり広いマンションだった。大学のサークルで、マンションを借りる余裕があるところはほどんどないだろう。
みんなその部屋をたまり場にして、食事会をしたり、鍋パーティーをしたりした。
勘が鋭い人なら、
「ちょっと、おかしくないか?」
と思うかもしれない。ただ、Aさんは
「数百円で食事会に参加できるから、食費が浮いて得だ」
とむしろ積極的にサッカーサークルに参加するようになったという。
Aさんは部室にいると奇妙なことに気がついた。時折、人が消えて、別室にこもるのだ。
Aさんは先輩に
「たまに部屋にこもって何をしてるんですか?」
と尋ねてみた。先輩は、
「実は聖書の勉強をしてるんだ。あなたも勉強してみる?」
と言った。
実は「私達は宗教団体だ」と伝えられた。
だがAさんはサークルに入ってすでに、一年近く経っていた。
「だましやがったな!!」
という気持ちにはならなかった。
「宗教団体といっても、オウム真理教みたいな団体ではないから」
と言われ、素直に納得した。
逆に、
「自分も聖書の勉強をすれば、もっとみんなと仲良くなれるかもしれない」
と思ったという。
それからは部室に行っては、熱心に聖書の勉強をするようになった。
「Aさんは当時を振り返って、
『サッカーをしたかったのに、いつの間にか聖書の勉強ばかりしてた。今思えば変な話ですけど、当時は不自然だとは思わなかったんですよね』
と言っていました」
結局、Aさんはその宗教団体に入信した。
大学生を入信させるために奔走する、カルト教団の信者になった。
つまり被害者側の人間から、加害者側の人間になったのだ。
入信すると、教団のカラクリが見えてきた。

まず、教団はサッカーサークルだけを運営しているわけではなかった。
たまたまAさんが、「サッカーに興味がある」と言ったから
「私達はサッカーサークルだ」
と言っただけで
「ボランティアに興味がある」と言ったら、「私達はボランティア団体だ」
と言って勧誘していた。
相手の趣味に合わせて、擬態するのだ。