いじめ・不登校を経験し空手家に| 生きづらさを抱える人に寄り添う「 ごちゃまぜ整体院モムの大ちゃん」ってどんな人?

親父の涙
「親父もどうしたらいいか、わからなかったんでしょうね」
悩み抜いた父親は、大ちゃんを連れて児童相談所に相談に行くことに。そこで、職員に言われたひとことが、頑なだった父親の考えを変えることになる。
「子どもに手をあげることはないかと聞かれたんです。昔の人ですから、体罰は良くないという概念がなかったのでしょう。正直に『殴っています』と答えたんです。そうしたら職員の方に『絶対にダメですよ』と言われて。
うちは3人兄弟なのですが、児童相談所から帰ると3人並べられて、『今まで俺に殴られたこと嫌だったか? 辛かったか?』と聞かれました。兄弟みんなが辛かったと答えると、親父が正座して、泣きながら謝ってくれたんです。『辛い思いをさせて本当に申しわけなかった』と。親父の涙を見たのは後にも先にもその時だけです」
子どものために良かれと思ってやってきたことが間違っていた。子どもを正すのに体罰は必要ではない。自分の非を認め、しっかりと謝ることができる。「そんな人だから信用できるんです。スーパーヤンキーなんで、行き過ぎたところはありますけど(笑) 僕の学校に行けない、行きたくないという気持ちも受け止めてくれて。やられたらやり返せと言われることもなくなりました」

空手は人生をよりよくするためのツール
人生を変えた空手との出会い
「『格闘技でも習わせてみたらどうか』そう親父に提案してくれたのも、児童相談所の職員の方でした。それまでは、空手のかの字も知らなくて。『ミニ四駆買ってやるからついて来い』と言われて、連れて行かれた先が道場でした(笑)」
基本的には何でもやってみたいという好奇心旺盛な大ちゃん。秋田一の名を馳せる空手道場で、その日から空手を始めることになる。
「僕、運動が凄く苦手なんです。走らせてもビリ、ドッチボールとかバスケットボール、特に球技が苦手でしたね。だから、自分には運動はできないものだと諦めていました」
野球やサッカーなら勝つことが目的になる。しかし、空手はそうではないのだと大ちゃんは言う。
「試合となると話は別ですが、空手は勝つことが目的ではありません。だから、他人と比較されることがないんです。他の競技なら勝つことに向けた練習になる。でも空手には他人と比べるという概念がない。人と比べないから自分のペースでできる。だから、厳しくても楽しい。自分と他人は違って当然なんです。でも、他のスポーツでは中々こうはいきません」
帯の色が変わる昇級審査も上手い下手だけでなく、普段の練習の態度や取り組み方、本人の人間としての成長などを考慮して合否が決まる。すなわち己との戦いなのである。
「空手は人生をよりよくするためのツールです。空手だけではなく、武道とはそういうもだと僕は考えています。
けれど、元々は人殺しの道具です。危ないものを勉強するというのは力を得るということ。その力は正しく使わなければなりません。正しく使う心を鍛えてくれるのもまた空手です。
強さのない正義は時に無力です。強ければ心に余裕が持てる。いざという時に動けるという余裕ができることで、人に優しくすることもできる。嫌なことがあっても死ぬくらいなら逃げればいい。そう考える余裕もできます」
空手を始めてすぐさま夢中になった大ちゃん。空手との出会いが、大ちゃんの今後の人生を大きく変えることとなる。
