【俺はキチガイじゃない!!】
私は元夫に医師から言われたこと、そして、自分がネットで調べた内容を伝えた。
そして、カウンセリングや病院への受診を勧めた。
2人で乗り越えようと思ったのだ。
元夫を愛していたからだ。
しかし、元夫から出た言葉は「お前はうつ病のキチガイだ!だけど、俺はキチガイじゃない!!」だった。
取材をしていると、成人発達障害当事者と思われる人を病院や支援機関につなげるのは、専門家でも難しいという。
今までの生きてた歴史を否定され、プライドを傷つけられることにつながるので、支援者の言葉は耳に入らない。
そこで支援者が取る方法は、当事者と思われる人の恋人パートナーからのアプローチである。
しかし、それでも難しいという現実がある。
元夫は医療やカウンセリングにつながることを拒否した。
「発達障害者=キチガイ」という根強い偏見があったのだ。
こういった障害者への差別・偏見は今もなお根強いが地域格差もあるだろう。
元夫が暮らしていた場所は地方都市の山奥の集落だ。
障害者が一人産まれると、家ごと差別されるような風土があった。
義母によると、義妹の知的障害が分かったときに
差別から集落で孤立したという歴史もあった。
元夫にとり、受け入れがたい、絶対に認められないことなのだ。
息子の様子をおかしいと感じていた義母は、私と一緒に
受診が嫌ならせめてカウンセリングだけでもと、共に勧めた。
しかし、家長である義父は
「俺の息子をキチガイ扱いするのか!!病院になんか行ったら、キチガイにされちまう!!」と猛反対し、暴れた。
家の中はめちゃくちゃだった。
子供を抱きしめた私を殴ろうとする元夫とそれを庇う義母、その義母を庇う義妹。
そして、見て見ぬふりをして自室にこもる義父。
義母から息子が落ち着くまで、また東京の実家に戻って欲しいと言われ帰省準備をしていた。
そして、子どもを抱いて玄関から出ようとしたときに、元夫は
「帰ってくるっていう約束として、歩は置いていけ。お前は出ていけ!」と私を蹴り出した。
さらに追いかけて、殴りかかってくる息子の殺気立った様子に義母は車のエンジンをかけた。
「歩は私がみるから、とりあえず、落ち着くまで東京に帰って。早く乗って!」
という声に促され、私は車で元夫から逃げたのだった。
その時は、またしばらくすれば、元夫は収まる。
歩と離れるのは初めてだけど、すぐに会える。
そう思っていた。
歩はその時、一歳の誕生日を迎えようとしていた。
に続く
参考資料
DVの相談先一覧
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html
※内容は事実関係に基づいていますが、個人特定を避けるため、人名・地名・関係者名などは一部事実と異なります。
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