カシワギさんの知り合いでドールを複数体持っている人がいるが、彼がドールと添い寝する時は他のドールは他の部屋に置くという。ドール同士をバッティングさせない、細やかな心遣いだ。
毎日ドールをきちんと手入れし、すべてのドールにハグとキスをしてから仕事に出かけるという。
「女性と話すのが苦手な人、会話をしたくない人にとっては、ラブドールは人間の女性が持つまどろっこしい部分を抜いた存在だと思うんです。極端な人だと、ラブドールを購入したから彼女と別れた、という人もいました」
言いたいことは分からなくはないのだが、それでも生きている人間と付き合ったほうが、楽しいような気はしてしまう。
「もちろんそうだと思いますよ。ただ、恋人との付き合いって“楽しい”の反作用で“苦しい”がついてくるじゃないですか。もちろんずっと気を使わないといけないですし、下手なことを言ったんじゃないか? って後から後悔したりもします。恋人はプラスも大きいけど、ほぼ同じだけマイナスもある。下手をすると“苦しい”の方が大きくなることもありますよね?
でもラブドールは“楽しい”は恋人より小さくても“苦しい”がないんですよね。だからラブドールを持っていても、プラスしかないんです」
こう聞かされても、やっぱり納得できない人もいるだろう。
「もちろん、いわゆる変態性欲だとは思います。白い目で見られてしまうのも、仕方がない部分はあると思います。
ただ、大事なのはラブドールは人間ではないんですね。シリコーンの塊なんです。ラブドールで自分を慰めている人がいても、それで傷つく人はいません。これは大事なポイントです」