今、自殺を考えている人に対して、伝えたいことをうかがった。
「せん方がいいよ。死ねなかったら余計にしんどい。絶対に死ねるならいいけど」
障害認定こそされていないが、今でも名波さんはかがむ、ジャンプする、トイレをするなど日常の動作に不自由がある。元々あったパニック発作などの精神疾患に加え、身体まで不自由になってしまった名波さんの言葉は重い。自殺未遂後、名波さんに受け入れてくれる家庭はなかった。実家は足腰が不自由な彼を受け入れられるような造りでもなく、経済的に支えることもできなかった。
行き場を失った彼に、彼女は彼女の実家で一緒に暮らすことを提案した。名波さんはそれから9年間、彼女の実家で生活することになる。彼を不憫に思った彼女の父も同居を勧めてくれたという。名波さんは住み慣れた豊中市から、彼女の実家のある岸和田市に転居した。
【彼女の家での疑似家族生活とその終わり】
彼女の家庭も様々な事情を抱えていた。離婚した兄の子供は、名波さんが面倒をみていた。小学校2年生の双子だった。その2人の子は今年、大学生になる。それだけの年月、一緒に暮らした。しかし、気丈な彼女だったが、父のガンの発症や兄家庭のトラブルで精神を病んでいった。
ストレスから帯状疱疹や円形脱毛症というには、あまりにも広範囲に脱毛してしまった。「出て行って欲しい」と言われたのは、おととしのことだった。1年間の期限を与えてもらい、名波さんは新しい居場所探しをスタートした。「死ぬから出ていくんじゃなくて、1年間頑張ろうって居場所を探そうと思いました」
◆自殺を考える前に相談しましょう!解決策はあります!
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(おこなおう まもろうよ こころ)