「発達障害児で問題児でも働けるには理由(ワケ)がある!」|豪快かあさん!!かなしろにゃんこ。流 ADHD児の育て方

専門書を読むと、発達障害の子は順序だてて話すことが苦手、語彙があってもそれを並べて話せないと書いてあった。
「あれ、これうちの子じゃない?と思いました。なので、家で訓練をしたんですよ。
反抗期のときの困りごとにもつながるんですけど、いわゆるしゃべり言葉が下手だったんですね」
かなしろさんは家で漫画を描く仕事をしているメリットを活かし、小5から報告・連絡・相談(報連相)と5W1H(Who(だれが)When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を指し示す言葉)を意識して話す訓練を始めた。
親子だったら「あれ取って」「これ取って」と言ってもツーカーで伝わる。それをやめたのだ。
例えば「僕が何時に外の自転車が倒れていたから起こした」と5W1Hを意識して報告させるようにした。
「家で仕事をしているので、仕事の合間に『私は今、あなたの話を聞く体勢ではありませんよ上司』のふりができるんですよ。
嫌がりましたよね。
『何でそんな風にしゃべらなきゃいけねーんだよ!
超うぜー!
やってられっかよ!』とか言われましたよ」
今、話を聞く状況じゃない上司のふりをして、母のかなしろさんに話しかける際に「今、いいですか?」「今、話せる?」など質問から入る話し方をするように徹底した。常にそういった接し方をしなければいけないわけではない。1日1回、数分でも毎日繰り返すことが大切だという。
「お母さんが優しいと無理だと思うんですよ。
私は冷たいんで、仕事中に話しかけんなオーラを出してるんですね。
『今から2時間、私に話しかけるな!』とか言っちゃう人です」
最初はリュウ太君も「お母さん、冷たい」「その言い方は寂しい」と言ったが、そんなときは『じゃあいいよ!お前と一生遊んでやるから、その代わり、飯はないんだぞ!』と突き放した。
こういったトレーニングをSST(ソーシャルスキルトレーニング)と呼ぶが、世間のSST教室は高額なところも多い。日常生活でSSTを取り入れたリュウ太君は、高校生の頃にはきちんとコミュニケーションが取れるようになった。その甲斐あって、リュウ太君は就職先でも体調面できついということはあっても、コミュニケーションができないことで苦しむことはない。
家でのSSTの参考にしたのが、発達障害当事者の冠地情(かんちじょう)氏が主宰している「イイトコサガシ」のワークショップだった。

「イイトコサガシ」冠地情氏
冠地氏は昨年、ワークショップの集大成ともいえる本、「発達障害の人の会話力がぐんぐん伸びる アイスブレイク&ワークショップ」を出版した。その漫画を担当したのがかなしろさんだが、冠地氏のワークショップには10年ほど前から参加していた。
冠地氏はコミュニケーションに生きづらさを抱えている当事者や関係者(家族や支援者)にコミニュケーション・ワークショップを提供・実践している。
その中でもかなしろさんの心に刺さったのは「自分が得意ではない分野の話をするときに話に入っていきづらいよね?だったら、そのとき、質問したらどうかな?」というアドバイスだったという。
それをリュウ太君に伝えてみたところ、自分が会話に入っていけないときや、人と話すときは自分から質問するということが身に着いた。