境界線にいる私たち②DVからの逃避と母性の芽生え

コラム

【私の中の母性が目覚めた日】

そんな中でも息子はすくすく成長していった。

出産当時は母性がないのではないかと思ったほどだった感情に変化が起きた。

 

それは息子が産まれて2か月の寒い日だった。あまりにも寒かったので、私は息子を沐浴用のベビーバスから出して、大人用のバスタブで一緒に入浴した。

 

浴槽の中で小さな猿のような息子を抱いて入ると、息子は裸の胸にギュッと抱きついてきた。

 

その時の感覚は、何とも表現が難しいが、この子を守らなくてはいけない、この小さい命を守らなければと使命感が沸いたと同時に今まで感じたことのないような幸福感があった。ほんの10分ほどのその時間が、今でも私がシングルマザーで子を育てる原動力になっていると感じることすらあるほど、忘れられない。

 

しかし、東京と地方都市を往復する日々は、そう長くは続かなかった。

 

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